平成27年度 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)事業化事例集
21/142

19関東・甲信越北海道・東北北陸・中部近畿中国・四国九州・沖縄関東・甲信越透水管と2種類のシートを使う新工法の仕組みと特長「ジオダブルサンド工法」は、物流に欠かせない道路を主な対象としている。地表から20cmくらいのところにある下層路盤の下に、円筒の全面から水を集めることができる“透水管”を置く。その上に、接着面を含めて完全に水を防ぐ“防水シート”を敷き、さらに強度を上げるため上層路盤の上に“補強シート”を敷いてアスファルト舗装を施す。完全防水型のシートがあることで、水は上に行けず、防水シートの下にある透水管に集まるしかなくなる。こうして水のみを逃がせば噴砂は起こらず、不等沈下を防ぐことが可能になるという仕組みだ。ほかの工法に比べて工期がかからず安価で、部分補修ができるという特長ももっている。助成金を活用して行われた遠心載荷試験による実証実験 利点が多いこの工法を広めるためには、実際に地震が起こったときの効果を証明する必要がある。しかし、そのための試験には数百万もの費用がかかる。一中小企業にはかなりの負担だ。そこで茜谷氏は、長年築いてきた人脈から情報を得て「やまがた地域産業応援基金」を申請。平成24年に採択されると、日本大学工学部土木工学科の仙頭紀明准教授に試験を依頼した。 平成25年4月、「ジオダブルサンド工法」の遠心載荷試験による立証実験が開始された。実験に使われた浦安市想定の砂地盤の模擬道路は4種類。国道と県道・市道の舗装の厚さを再現したものそれぞれに、「ジオダブルサンド工法」で対策したものと無対策のものがつくられた。そして、東日本大震災同様のマグニチュード9.0、震度7のゆれを起こして検証。秒数を変えながら6回続けて実験したところ、無対策のものはすべて1回目の20秒の地震に耐えられなかった。一方で対策済みのものは、国道想定の模擬道路が5回目の200秒の地震でごく細いひびが入ったのみ。効果が立証されただけでなく、思っていた以上の強度があることもわかった。 茜谷では、助成金を活用したこの遠心載荷試験の結果を用い、非常に難しいとされる国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録するなど、「ジオダブルサンド工法」の周知に全力を注いでいる。千葉県香取市での道路修繕工事で採用されたことを皮切りに、全国の自治体や大手企業などからの引き合いは現在30社近くにも上る。もしもまた大地震が起きたとき、 「ジオダブルサンド工法」でまずは道路を守るのだ。茜谷のそうした強い思いが、全国に伝わり始めている。「ジオダブルサンド工法」は新しい技術。データがなく、助成金のプレゼンに苦労した面もあったが、熱意を込めた対応が採択へつながったのではと語る。無理だと思う前に、だめでもともとという思いとともに挑戦してみることが大切だそうだ。今後の事業展開事業成功のポイント宮城県や千葉県、東京都、愛知県などの企業と「ジオダブルサンド工法研究会」を結成。相互協力し、それぞれの地元にお金が回るようにしている。「ジオダブルサンド工法」を広めることはもちろん、将来的には使用しているイタリア製の防水シートの製造工場を地元酒田市に誘致することなども視野に入れていきたい。茜あかね や さとる谷聡株式会社茜谷代表取締役☎023-647-3163公益財団法人 山形県産業技術振興機構お問合せ※その他の地区については巻末の連絡先一覧をご覧ください。ファンド担当者の視点!本事業は、自社で考案した新技術の実証のために助成事業を活用いただいた効果的な事例です。今後、山形発の新技術が全国に広がることを期待します。事業の推進体制(協力業者、販売代理店などの体制)自治体、企業など発注元の地元のゼネコンなど発注受注公益財団法人 山形県産業技術振興機構支 援株式会社茜谷「ジオダブルサンド工法」の開発、資材販売、施工指導など発注受注資材販売、施工指導資材販売、施工指導受注発注ジオダブルサンド工法研究会相互協力(資材の販売、資材の購入と確保、施工指導、販売代理店業務、技術革新など)透水管の敷設工事風景。この工法で使用される透水管は全面から水を集めることが可能。透水管の上に防水シートを敷く。シート同士の接着には強力な専用の接着剤が使われる。公益財団法人 山形県産業技術振興機構地域中小企業応援ファンド

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 21

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です