平成27年度 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)事業化事例集
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15関東・甲信越北海道・東北北陸・中部近畿中国・四国九州・沖縄関東・甲信越く、熱源として利用する方法を探るとヒートポンプに行きついた。 化石燃料の代わりに、この地域にもともとある地下水を熱源として使えば燃料費は大幅に削減できる。そして、地下水を使うヒートポンプの開発なら、井戸の掘削と空調を得意とする自分たちの技術も生かせるのではないか。そう考えた細井氏は、大手メーカーにヒートポンプ製造の途中工程までを依頼すると、自らは地下水を利用する熱源システムの設計を進めた。ノウハウの解明を目指すなかファンドの申請を勧められる ところができあがった第1号機を動かしてみると、すぐ壁にぶつかった。ヒートポンプのノウハウは、温度やタイマー設定などをつかさどる制御に凝縮されていた。そしてそのノウハウは、各メーカーとも社外秘とするなどブラックボックス化していたのだ。一方、顧客である各農家からは、制御についての要望が頻繁に出されていた。それに応えるためにも、ブラックボックス化されているノウハウを解明する必要がある。細井氏は、制御を含むシステム全体を自分たちで構築する改良版地下水熱ヒートポンプの開発を決意。開発費用の軽減を模索するなかで、美郷町商工会から「あきた企業応援ファンド」の申請を勧められた。経常利益を計上し事業化達成売上を伸ばし事業拡大を図る 平成22年、細井氏はENEXを設立し独立。先の大手メーカーと業務提携し、産業用コンピュータを扱える専門家の紹介を受けた。これによりブラックボックスだった制御のノウハウを解明。のちにその技術を自社に移し、現在は独自のノウハウも蓄積している。 申請していた平成22年度のあきた企業応援ファンドに採択されると、地元企業とも協力関係を築き、改良版の地下水熱ヒートポンプを開発。次年度にも同じあきた企業応援ファンドに採択され、地下水熱を利用したヒートポンプ冷温水機を開発した。両年度とも開発費のほか販路の開拓にも助成金が使われ、秋田県内の農家をはじめ気候条件が似ている山形県、新潟県などの農家、さらに工場などからも引き合いが相次いだ。「地下水熱ヒートポンプ」はCO2の排出量も抑えられるため、環境分野で数々の賞を受賞し注目を集めたことも周知を後押しした。 平成24年に経常利益を計上し事業化達成。現在も品質改善や迅速な顧客対応に努め、地下水熱ヒートポンプ事業の拡大を図っている。会社設立当初10台ほどだった「地下水熱ヒートポンプ」の売上台数も平成27年には100台ほどと飛躍的に伸びている状況だ。「地下水熱ヒートポンプ」は気候条件が厳しい地域に根差したニッチ分野の商品で、面倒が多い分、競合他社が少ないことが事業全体の最大の特徴といえる。また、設立して間もない会社であり、資金調達などが難しいところ、ファンドに採択されたことがステイタスとなり、信用が上がって借り入れができたことなども大きなポイントだ。今後の事業展開事業成功のポイント平成27年度の「あきた企業応援ファンド」採択事業である「地下水と地下水熱を利用した閉鎖循環式養殖システムによるアワビ養殖メゾットの構築」に取り組み、アワビ養殖メゾットの周知とともに、地下水エネルギーの従量制サービスの開始などを目指している。細ほそいともゆき井友亨ENEX株式会社代表取締役☎018-860-5702公益財団法人 あきた企業活性化センターお問合せ※その他の地区については巻末の連絡先一覧をご覧ください。ファンド担当者の視点!地元の再生可能な地下資源を活用し、地元の農家が抱える課題に対し、同社の実行力と技術力でアプローチ。中核技術の横展開が期待できる事例。事業の推進体制(協力業者、販売代理店などの体制)秋田、山形、新潟などのおもに農家公益財団法人あきた企業活性化センター支 援大手メーカー地元企業代理店・特約店業務提携製造協力販売・施工・メンテナンス販売菌床シイタケ栽培ハウスの内部。右の地下水熱ヒートポンプで温度などを管理している。現在、取り組んでいる、ヒートポンプを利用した閉鎖循環式アワビ養殖システム。公益財団法人 あきた企業活性化センター地域中小企業応援ファンドENEX株式会社地下水熱ヒートポンプ設備の企画及び設計、施工、販売

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