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4起業、会社のおいたち─創業は江戸時代とお聞きしました。弊社の創業は文久3年(1863年)で、今年で153年目に なります。茶業関係の歴史の本の中に丸谷家三代目がお茶の栽培と販売をしていたことが記載されています。それ以来、 日本茶一筋に取り組んでまいりました。─歴史や伝統を感じていますか。私は2013年に社長に就任しました。丸谷家八代目、丸八製茶場の六代目になります。伝統を重視するというよりは時代や環境に応じて業態が変わってきたということだと認識しています。高度成長期には海外の安い茶葉を輸入して加工する大量生産・大量販売であったと聞いておりますが、祖父が社長、父が専務の時代に当社にとって大きな変化がありました。その一つが昭和57年に磯部晶策先生※1と出会ったことでした。当時は食品の安全・ 安心を提唱する声はあまり聞きませんでしたが、先生との出会いをきっかけに安全・安心に力を注ぐことになりました。二つ目の出来事が昭和58年に第34回全国植樹祭で来県された昭和天皇に加賀棒茶を献上させていただいたことです。 当時、一番茶(冬越え後の新芽)は緑茶として販売し、焙じ茶の原料は二番茶以降というのが当たり前でしたが、天皇陛下が焙じ茶を好まれるという情報を得て、茶葉の選定から焙じ方まで試行錯誤した末に、一番茶を使用した最高品質の加賀棒茶を開発することが出来ました。このことをきっかけに、「献上加賀棒茶」※2という名前で、一番茶の茎の焙じ茶を一つのブランドとして商品化しました。事業の展開と現在─ 大学と連携して 加賀棒茶の味や香りの解明をされているそうですね。加賀棒茶の味や香りの研究をするために2006年にいしかわ大学連携インキュベータ(i-BIRD)に入居しました。隣接する石川県立大学や金沢工業大学、工業試験場と連携しながら良質な茶葉が育つ土壌の分析、味や香りに関する成分分析を行っています。献上加賀棒茶は一番茶の茎を焙じたものなのですが、茶葉の状態や焙じ方で味や香りが変わります。焙煎する際の火力や スピードなど、製造条件を一定にしても味と香りが変化することがあります。現在、官能評価のみで「美味しい」の基準を決めて いるのですが、今後は科学的な目というか客観的指標が必要ではないかと考えています。すべてのロットを製造現場の従業員が試飲をして、さらにオフィスの従業員が試飲をすることで一定 水準の商品を提供しているのですが、成分分析等を行うことで さらに品質を高めていくことが出来ると考えています。─ 喫茶室の展開やブランド力向上に注力されているそうですね。日本茶を愉しんでいただける場として、1994年に金沢市 東山で「茶房 一笑」、2003年に本社敷地内で「茶房 実生」を始めました。また、2015年にはJR富山駅・きときと市場とや150年の伝統を守りつつ、市場に応じた事業モデル転換に加え、科学的評価にも 取り組む老舗企業の新事業展開について「株式会社丸八製茶場」の丸谷誠慶社長にお話をうかがいました。BI入居企業 活動報告株式会社丸八製茶場お茶の茎の部分を焙じる加賀棒茶を、昭和天皇への献上用に厳選された素材と製法で仕上げた「献上加賀棒茶」のブランドを中心に、九谷焼柄のパッケージが人気のテトラシリーズ等が北陸土産として東京でも販売されている。石川県内に2件、富山県に1件、茶房を構えるなど、お茶の提供にとどまらずお茶を飲む文化も提供している。加賀いろはテトラシリーズ製品紹介時代に インキュベーション事業 平成27年度活動報告21

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