令和3年度第2版 事業承継支援マニュアル
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■ 97 ■©2021 SMRJⅥ Q&A集Q6 株式の集中及び分散防止のために、会社法のどの制度を活用すればよいですか? 後継者が安定して経営権を行使できるように、既発行の自社株式は分散しないようにする必要があり、分散した自社株式については後継者に集約する必要があります。1.株式の譲渡制限 定款で、株式を譲渡する場合に会社の承認を必要とすることにより、自社株式の分散を防ぐことができます。※新たにこの制度を導入する定款変更のためには、株主総会の特殊決議(総株主の人数の半数以上で、かつ、総株主の議決権の3分の2以上の賛成)が必要になります。2.相続人等に対する売渡請求 株式の譲渡制限を行なっても、相続や合併による取得には適用されませんので、相続などによる分散を防ぐため、定款を変更して、株式を相続した株主に対して会社がその売渡しを請求できるようにする、という方法があります。※この定款変更には株主総会の特別決議(議決権の3分の2以上を有する株主の賛成)が必要で、売渡請求をする場合にも、その都度、特別決議が必要です。また、経営者が死亡して自社株式を後継者が相続した場合にも、少数株主から売渡請求がなされる可能性があり、注意が必要です。3.種類株式 株式会社は、普通株式のほかに、種類株式(剰余金の配当、議決権などの権利内容の異なる株式)を発行することができますが、自社株式(議決権)の集中や分散防止に活用できるのは、①議決権制限株式、②拒否権付株式(黄金株)などです。⑴議決権制限株式  議決権制限株式(株主総会での議決権の全部又は一部が制限されている株式)を活用して、後継者には議決権のある株式を、それ以外の相続人には議決権のない株式を、それぞれ取得させて、後継者に議決権を集中させることが考えられます。 ※議決権のない株式の株主は、基本的に会社からの配当を期待するしかありませんので、非後継者に納得してもらうには、優先的に配当を実施するなどの配慮が必要です。⑵拒否権付株式(黄金株)  経営者が、自社株式の大部分を後継者に譲るけれども不安が残る、という場合には、経営者が拒否権付株式(一定の事項について、必ず、拒否権付株式の株主総会決議が必要、という株式)を保有し、後継者の経営に助言を与えられる余地を残しておく、といった方法があります。 ※経営者と後継者の間で意見の対立が生ずると、どちらの議案も可決できない状態に陥る危険性もあるので、注意が必要です。また、拒否権付株式は強い効力を有するので、万が一にも他の人の手に渡ることのないよう、できれば前経営者の生前に消却するようにしましょう。(注)一定の事由が生じたときに会社がその株式を株主の同意なしに買い取ることができる取得条項付株式の活用や、全株式に譲渡制限がなされている会社においては議決権や配当などについて株主ごとに異なる取扱いをすることにより対応することもできます。 ・種類株式とは議決権や財産権等が普通株式と内容が異なる株式であり、この種類株式を用いて「議決権」をコントロールすることが可能です。・種類株式を活用することによって、①後継者に議決権を集中することや②先代経営者が当面の間、後継者の経営に睨みを利かせることも可能です。Q6株式の集中及び分散防止のために、会社法のどの制度を活用すればよいですか?A6ポイントポイント

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