令和3年度第2版 事業承継支援マニュアル
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©2021 SMRJ■ 4 ■事業承継支援の考え方1.支援機関内で事業承継支援の目線を合わせる「事業承継=相続税対策」だと思っていませんか? 事業承継支援を開始するにあたって、まずは事業承継支援の対象事業者について、支援機関内で目線を合わせる必要があります。 支援機関内でどの領域の事業者を対象としているのかお互いに認識した上で議論をしないといつまでも話がかみ合わない状態が続くことになります。 上図はイメージですが、支援対象とする事業者全体をⅠ〜Ⅳまでの4つのボックスに分けます。  1)横軸の上と下で、上側が顕在的(自分から事業承継の相談に来る)、下側が潜在的(自分から事業承継の相談に来ない)とします。事業承継の相談は自分からなかなか相談に来ないので、下側の事業者数が多いと考えられます。 2)次に縦軸の右と左に分けます。右側に向かうほど純資産が大きく(株価が高く、相続税が高い)、左側に向かうほど純資産が小さい(株価が低い)とします。国税庁が実施する「会社標本調査」によれば、全事業者の7割弱が赤字ですので、左側の事業者数が多いと考えられます。  ⇒1)2)より、第Ⅲ象限の事業者数が他の象限よりも多いと考えられます(ボリュームゾーン)。 しかしながら、「事業承継支援」と聞くと多くの方は、点線で囲った部分(第Ⅰ象限の事業者群)の事業者支援を思い浮かべるのではないでしょうか。 第Ⅰ象限の事業者群の事業承継支援は金融機関や民間のコンサルティング会社でも行われるようになってきましたが、第Ⅲ象限の事業者群の事業承継支援までは支援しきれていない現状があります。しかし、地域全体を考えると、第Ⅲ象限の企業群が事業承継の取り組みをせずに廃業した場合、地域の取引ネットワークやサプライチェーン、産業構造等に与える影響がどの程度あるのか認識する必要があります。顕在化(相談に来る)潜在的(相談に来ない)純資産が大きい(株価が高く、相続税が高い)純資産が小さい(株価が低い)ⅠⅡⅢⅣ対象事業者全体一般的な支援機関が認識している対象事業者(「自ら相談に来る、株価が高めで税金問題で悩んでいる」等)。「事業承継支援」は、4つのボックスで考える。「Ⅰ」の事業者だけでなく、「Ⅱ」「Ⅲ」にも配慮が必要。「Ⅲ」のゾーンは企業数は多いが、自ら相談に来ないので、掘り起こし(声掛け)が必要。事業承継の取り組みなく廃業した場合、地域の取引ネットワークやサプライチェーン、産業構造等に与える影響を認識する。

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