令和3年度第2版 事業承継支援マニュアル
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■ 43 ■©2021 SMRJ要な2/3以上の議決権の確保が目安)。・ ‌自社株式や事業用資産は経営者の相続財産に占める割合が高く、後継者に集中的に承継させるために、後継者や会社は、自社株式や事業用資産の確保や相続税の納付のため、多額の資金が必要になるケースがあります。専門家と相談して対策を検討しましょう。 ②後継者以外の相続人への配慮・ 生前贈与や遺言を用いる場合でも、後継者以外の相続人の遺留分による制限があります。(注)遺留分:兄弟姉妹やその子以外の相続人に対して最低限度の資産承継の権利を保障するための制度。例えば、相続人が妻及び子供二人の場合、妻が1/4、子供がそれぞれ1/8の割合に相当する額の遺留分を有し、その額を侵害するような贈与や遺贈を受けたときは、遺留分侵害額に相当する金銭を請求される場合がある。(5)後継者への生前贈与・ 自社株式等の生前贈与は、権利の移転が現経営者の生前に実現するので、後継者の地位が安定する点で有効ですが、以下の点で注意が必要です。 ①遺留分等民法上の問題・ ‌生前贈与で分け与えた財産については、相続発生の際、後継者以外の相続人の遺留分による制約を受けるため、財産分配方針を決定した上で計画的に行うことが必要です。・ ‌令和元年7月1日より、遺留分を侵害された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求ができるようになります。また、請求を受けた者が金銭を直ちに準備することができない場合、裁判所に支払期限の猶予を求めることができます。 ※自社株式等の生前贈与をするときは、経営承継円滑化法「民法の特例」の活用も検討しましょう。 ②贈与税の課税制度の検討・ 贈与税には以下の課税制度がありますが、どの制度を採用するにせよ、現経営者の生前に計画的に事業承継に取り組むことが、円滑な事業承継のために重要です。(注)暦年課税制度:暦年毎にその年中に贈与された価額の合計に対して贈与税を課税。110万円の基礎控除があるが、税率は10%〜55%の累進税率。(注)相続時精算課税制度:60歳以上の親(又は祖父母)から20歳(令和4年4月1日以降の贈与は18歳)以上の子(又は孫)への贈与について、選択制により、贈与時に軽減された贈与税を納付し、相続時に相続税で精算する制度。2,500万円の特別控除があり、それを超えた額については一律20%の税率を適用。 ※上記の他、経営承継円滑化法の「非上場株式に係る贈与税の納税猶予制度」の活用を検討することも有益です。(6)会社法の活用・ 現時点で既に自社株式が分散している場合には、可能な限り買取り等を実施して、後継者に自社株式を集約します。・ 株式を分散させないためには、定款に譲渡制限規定を設けることが有効です。(注)譲渡制限規定:株式の譲渡について、会社の承認を必要とする規定。Ⅲ 親族内承継・親族外承継(従業員等)の対策 1.親族内承継

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