令和3年度第2版 事業承継支援マニュアル
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■ 31 ■©2021 SMRJⅡ 事業承継支援における相談対応の概要トピック経営承継円滑化法の活用が事業承継計画策定、関係者の理解に繋がった事例トピックポイントポイント 某地方の製造業のX社は創業者であるA氏が会長、長男B氏が社長となっている。 長男B氏が後継者であった頃から、X社の株式がB氏以外の兄弟等にも分散しており、また会長A氏が引き続き数十%を保有していることから、会長A氏が保有する株式の動向が経営権に影響を与えかねないことを経営幹部も心配していた。 会長A氏は90歳代と高齢だが健康であり、当該株式の取り扱いについて進言する機会もなく、関係者は不安を抱えつつ見守っていた。 X社は業歴も長く、健全経営を続けてきたことから、自社株式評価も高く、将来の相続発生時の納税負担についても心配な状況にあったことから、中小企業経営承継円滑化法の施行に伴い、顧問税理士・公認会計士が社長B氏ならびに経営幹部と相談して、同法の納税猶予制度について会長A氏に説明し、活用を検討することを勧めた。 相続税の納税猶予制度についての概要説明資料を会長A氏に見せ、制度の内容について説明を行ったところ、「この法律はまさしく当社のような会社を対象としているので、積極的に行動を起こしたい」と好反応。早速、社長B氏ほか経営幹部は、顧問税理士・公認会計士の協力を得て「事業承継計画」を作成、作成過程で示された会長A氏の意向(社長である長男B氏に会長A氏保有の自社株式を全て相続で承継する旨の計画)を明記し、これを都道府県に申請(※)し、受理された。 経営承継円滑化法の活用検討は、効果として、「事業承継計画作成」に結びつき、その作成過程の中で社長B氏がX社の後継者であることが明確となり、社長B氏ならびに経営幹部も安心し、また社内外にもアナウンス効果が図られたとのこと。 ・オーナー経営の中小企業から「後継者や株式等事業資産の承継の問題はオーナー経営者の個人的な問題もあって切り出しづらい」という悩みがよく聞かれる。上記は、経営承継円滑化法の「事前確認」申請(※)を行うことで、計画的な承継に係る具体的な第一歩を踏み出すこと、その前提となる事業承継計画の策定を通して、関係者の共通理解が図られる効果があるという事例であり、同様の悩みを抱えている中小企業の相談対応において参考になるのではないかと思われる。※事前確認制度は、平成25年4月1日より強制ではなく、任意制度となっています。※平成29年4月1日以降、窓口は都道府県に変更されました。※平成30年度税制改正により、今までの制度(一般措置)に加えて、特例制度(時限措置)が創設されました。詳細については、150ページ以降をご参照下さい。

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