令和3年度第2版 事業承継支援マニュアル
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■ 145 ■©2021 SMRJⅥ Q&A集Q41 株式譲渡と事業譲渡に係る税務上の留意点は何ですか?1. 売り手の税務(1)株式譲渡の際にかかる税金 個人がM&Aにより未上場株式を譲渡した場合には、その譲渡益(譲渡所得)に対して20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税率により課税されます。M&Aの仲介手数料は、譲渡費用として譲渡所得の計算上控除できます。(2)事業譲渡の際にかかる税金 譲渡会社が資産等を時価で売却したものとして、法人税や消費税を計算します。(3)役員退職金にかかる税金 M&Aにおいては、株主である役員が株式譲渡契約締結と同時に退任する場合があります。この場合の退任役員に対する退職金の所得税と住民税は、退職金の額から勤続年数に応じて計算される退職所得控除額を控除し、その控除後の金額の2分の1に対して課税されます。株主である役員が退任する場合は、M&Aの対価を株式の売却代金として受けるか退職金として受けるかによって、税引後の手取額に有利不利が生じる可能性があります。2. 買い手の税務(1)株式購入の際の税務①通常のM&Aの場合の株式の取得 売り手と買い手の交渉により決定した売買金額は、税務上も適正価格とされます。なお、M&Aの仲介手数料・買収先が決定した後の財務調査費用は取得価額に含まれ、損金に算入できません。②純粋な第三者価格でない場合 親族内承継のため同族間で株式売買を行う場合等には、純粋な第三者間で交渉の上成立したとは言えないような価格により売買が行われるときがあります。このときには買い手側(個人)でみなし贈与税課税が生じるおそれがあるので、慎重な検討が必要です。(2) 事業譲渡の際の税務  事業譲渡の場合は、事業を買受けた法人は資産等を時価で買受けたものとされます。移転する資産等の時価を超える対価の支払いがある場合は、原則として時価を超える差額は資産調整勘定として資産に計上し、5年間にわたって損金処理されます。  移転する資産等の時価に満たない対価の支払いがある場合は、原則、時価に満たない差額は負債調整勘定として負債に計上し、5年間にわたって益金処理されることになります。Q41A41株式譲渡と事業譲渡に係る税務上の留意点は何ですか?

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