令和3年度第2版 事業承継支援マニュアル
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■ 143 ■©2021 SMRJⅥ Q&A集Q39 事業譲渡における従業員との労働契約と労働条件についての留意点は何ですか?3. 労働契約承継の対象労働者が転籍不同意の場合、解雇できるか(1)事業の全部を事業譲渡し、譲渡会社が解散する場合 転籍に同意するか否かは労働者の自由です。しかし、事業譲渡と同時に譲渡会社が解散する場合で労働者が同意しないときは、勤務する場所がなくなってしまいます。この事業譲渡及び会社解散が適法(偽装解散など真実の解散と認められない場合に該当しないこと)に行なわれていれば、転籍に不同意の労働者を解雇することは可能と考えられます。(2)事業の一部を事業譲渡し、譲渡会社が存続する場合 転勤があることを前提としている雇用形態の労働者に対しては、それまでに携わっていた業務はなくなりますが、譲渡会社は存続していますので配置転換により雇用を継続しなければなりません。したがって、転籍に不同意という理由をもって直ちに労働者を解雇することはできません。 それに対して職種を限定して雇用されたスペシャリストについては、事業譲渡された業務にしか担当する業務がなければ、転籍に不同意の場合は担当する業務がなくなるわけですので、事情によっては整理解雇の検討が可能と考えられます。4. 労働者の転籍同意の手続(1) 労働契約の解除と成立の手続をする方法(労働契約解除・成立型) 労働契約を解消するには、労働者の退職、譲渡会社の解雇、及び労働者と譲渡会社との合意退職、の3つの方法があります。そして譲受会社との労働契約の成立は、通常行なわれている雇入れの手続と基本は同じで、具体的な内容を記載した双方合意による労働契約書として書面化することが望まれます。(2)労働契約の承継の同意による方法(労働契約承継型) 転籍同意書、労働契約承継同意書などの書面を作成して労働者の署名捺印を得る方法によることが望ましいのですが、転籍確認書、転籍通知書、労働契約の承継通知書などの通知書を2部作成し、1部に労働者の同意の署名捺印を得る方法もあります。要は、労働者の同意が明確に確認できる書面を取得しておくことが重要です。

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