令和3年度第2版 事業承継支援マニュアル
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■ 133 ■©2021 SMRJⅥ Q&A集Q 32 債務超過の会社ですが、M&Aはできますか? 債務超過の会社でも、魅力ある技術や優良得意先を持っているのであれば、M&Aで売れる可能性は十分あります。しかし、M&Aが成功する企業の基準を明確に示すのは難しいものです。反対に「こういう会社はM&Aで売れにくい、魅力がない」というものはあります。・債務超過の会社・連続して赤字決算が続いている会社・自社の独自性や特徴がほとんどない会社・所属する業界や業態が衰退していて、自社も差別化するものがない会社・社長一人だけの信用力や技術力だけで持っているような会社・特定の取引先の比率が非常に高い会社・「買い手企業からみて魅力に乏しい会社、リスクが高い会社」は、M&Aで買い手を見つけることが困難です。・債務超過の会社がM&Aを希望するのならば、何故、債務超過になったかなどについて、現状の経営実態を把握し、課題を抽出、それを解決していくことが必要です。また、自社の強み・弱みを分析し、「強み」をいかに強くしていくか、そのために何をすべきかなど、社長・社員が一丸となって取り組むことが大切です。【事例】時間をかけて会社を磨いた上でM&Aを実行■M&Aを決意したが、多額の借金あり運送業を営むS社の二代目N社長は、親族に後継者がいないことから、会社を第三者に譲渡することも頭に描いていた。社長に就任して3年目に商工会議所でM&A斡旋窓口が開設されたことを聞き、決算書などを持参して訪れたが、担当者からは“M&Aがすぐにできる状態でない”とアドバイスを受けた。バブル期に本業の商売が儲かったものの、先代社長が本業以外の儲け話に投資をしたため、多額の借金を抱える経営状態であった。N社長は廃業も考えたが、新規得意先を開拓するなど営業に注力し、会社のスリム化、設備投資の抑制等、社員一丸となって取組むとともに、バブル期に投資した物件や不良債権などを処分するなどで、3年で借入金を大幅に縮小した。■社長に就任して10年でM&Aを実行経営改善努力がようやく軌道に乗り始めた頃、商工会議所の担当者から「その後の状況を教えてほしい」と連絡があり、「経営改善状況と借入金大幅減少」を示したところ、M&A専門会社を紹介され、仲介契約を結び、譲受先を探すことになった。買い手候補先の紹介を受け、N社長は、事業の方向性や業界の将来像を含めて率直に説明をした。買い手候補先も新業態の事業を展開する計画がありM&Aが成立した。社員には、M&A契約調印の日に、会社を売却したこと告げ、新社長を紹介した。ほとんどの社員から「社長に裏切られた」との声が上がったが、社員には、①全員が新会社に残ること、給与条件も変わらないこと、②荷主に迷惑をかけないこと、③後継者がいないので事業存続と発展には、M&Aしかないことを、丁寧に説明をし納得してもらった。■M&A後譲渡先企業から1年間は相談役で、次の1年間は顧問として既存の会社の事業を見てほしいとの要請があり、N氏はこれを引き受け、その後も、引退後の生活を楽しみながら、お手伝いで事業を支えている。 Q32債務超過の会社ですが、M&Aはできますか?A32ポイントポイント

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