令和3年度第2版 事業承継支援マニュアル
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■ 132 ■©2021 SMRJⅥ Q&A集Q 31 M&Aで会社を高く売却するためには、どのようにしたらよいですか? 会社の実力を「磨き上げておくこと」が大切です。一般に、会社の価値(値段)は、現在の会社が持っている財産の価値を基礎とする純資産価額と、現在の会社のお金を稼ぐ力を評価する収益還元法による価額の2つを加味して計算されます。これに、他社と差別化できるコア技術を保有しているか、有力な得意先を確保しているか、特殊な資格や許認可権などを保有しているかなどを加味して会社の価値が決まります。 ・プラスαの魅力を磨き上げ、いかに強みをアピールしていくかが大切です。【改善点と企業価値を高める努力】1.業績の改善、無駄な経費支出の削減 会社の業績が悪化し、赤字計上や多額な借入金がある場合には、会社は買い叩かれる可能性があります。事業計画を見直し、業績を伸ばす努力を行い、無駄な経費の削減等の経営改善に取り組むことが大切です。2.貸借対照表のスリム化と社長名義のものを区分 不採算部門の整理や不良債権など、不良資産は思い切って処分し、貸借対照表のスリム化をしていくことが大切です。 社長個人名義のものと会社のものが混在している場合は、明確に線引きをすることも必要です。公私混同のように見えると、買い手企業に、財務内容が不透明であるとの不信感を抱かせ、会社価値を低下させる恐れもあります。3.セールスポイントとなる会社の「強み」を把握すること 会社経営に独自性があり、他社がまねの出来ない独自の技術・サービス、優良販売先を確保しているなど、会社の「強み」があれば、一時的に赤字となっている企業でも、買い手企業は魅力を感じるものです。4.計画的に役員や従業員への業務の権限委譲を進めること 社長がいなくなると事業に支障が生じるようでは、買い手企業にとって魅力がありません。計画的に業務の権限委譲を進め、円滑に業務が遂行されるようにしておくことが大切です。また、マニュアルや規程等の整備も進めておく必要があります。【事例】高い金型技術でM&Aを有利に進める D社は自動車用部品向けの金型の設計・製作メーカー。設計部門の充実と取引先ニーズに対応しうる設備装置を保有し、地元の自動車メーカーなどを得意先としています。 M社長は大手メーカーで勤務後、独立。自動車産業の好況にも支えられ、年商10億円、従業員60名規模にまで成長させました。 M社長は、58歳になった時に、今後年齢を重ね、自分の気力と体力が衰え、得意先や従業員に迷惑をかけることを危惧、自分が健在のうちに、早期に承継問題を解決したいと考えましたが、M氏の2人のご子息には会社を引き継ぐ意思はなく、親族・社内にも後継者候補がいませんでした。 かかる中、ある事業承継セミナーに参加し、個別相談を受けたところ、M&A仲介会社を紹介されました。 M社長は、M&Aの条件として「従業員の雇用の確保、取引先に迷惑をかけないこと、社名を残してもらいたいこと、個人保証や担保の解除」を希望。紹介された買い手企業候補は、D社の高い技術力と新鋭設備装置、公私混同のない経営運営、交渉を通じて社長間の信頼関係が構築できたことを背景に、条件を受け入れ、M&Aは成功しました。Q31M&Aで会社を高く売却するためには、どのようにしたらよいですか?A31ポイントポイント

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