令和3年度第2版 事業承継支援マニュアル
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©2021 SMRJ■ 11 ■事例:事業承継の話の切り出し方の一例※1 上記の会話例では、「事業承継」という言葉は1度も出てきません。   「事業承継=相続税対策」と捉える方が多く、できる限り「事業承継」という言葉を使わずに「会社の将来のこと」を対話していくことが大切です。※2 社長自身の思い込みであるケースが大半です。だからこそ、経営者と後継者の対話が重要であることを、支援者は経営者に明確に伝えていくことが大切です。※3 親子間の話し合いに第三者が入ると、お互い冷静になり、今までお互いに出てこなかったような本音がでてくることがあります。このように、親子間の対話を円滑にすることも支援者ができる事業承継支援です(引き出す話題については、前頁の「15の視点」参照)。税の問題について専門家を派遣するだけが事業承継支援ではありません。向井課長:こんにちは。精が出ますね。社長:おっ、向井さんじゃないですか。課長さんが直々に今日は何ですか。向井課長:学さんが、いろいろと新しい取り組みをしていると聞きまして。お仕事の様子はお伺いして工場を見させていただいたり、こうして社長と話をさせていただかないと机上では分かりませんからね。社長:そうだよ。工場のレイアウトも刷新してね。息子ら現場の中堅や若手社員で話し合いをして工夫をしたレイアウトなんだそうな。ISOも取得して、マネジメントシステムを構築して顧客満足に繋がる仕組みをつくるとか言って意気込んでいるよ。そのあたりのことは私にはあまり良く分からないけれどね。まぁ、息子も33歳になってやる気も出てきたのかな。当分は様子を見ながらやらせてみようと思うよ。向井課長:息子さんとは事業の環境や会社の将来のことなどについて話をされていますか。※1社長:痛いところを突いてくるね。息子と会社の話はあまりしないんだよ。自由にやれと言ってるんだけれどね。普段から一緒に働いているから間接的には伝わってるんじゃないかな。※2向井課長:先日、学さんと少しお話ししましたよ。新商品の開発がいい方向に進んでいるみたいでしたよ。今度、新商品について話をされてみたらいかがですか。社長:何か一所懸命にやっているみたいだったけどね。いい方向に進んでいるなら、今度聞いてみるかな。向井課長:会社の将来について経営者と後継者が「対話」することが大事ですね。※2今度、息子さんも同席して「会社の将来のこと」についてお聞かせ下さい。私みたいな第三者が入ると、息子さんの本音が聞けるかもしれませんね。※3社長・中小太郎さんとの会話中小 太郎氏:  T社薬品・健康食品製造業3代目社長(60歳)中小 学氏:  T社新規開発部長・後継者候補(33歳)向井課長:  某金融機関渉外担当課長普段の会話の中に、事業承継支援のきっかけがあります。

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