令和3年度第2版 事業承継支援マニュアル
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■ 123 ■©2021 SMRJ1. 事業譲渡と株式譲渡の相違点 事業譲渡と株式譲渡の相違点は会社への「支配力」に影響を及ぼすか否かという点にあります。すなわち、事業譲渡は、M&Aのターゲットとなる会社(譲渡会社)そのものを支配するわけではなく、譲渡会社から事業の全部又は一部を取り出し、譲受会社の事業として取り込む行為のことをいいます。これに対して、株式譲渡は、取得する株式の保有比率が大きくなるにつれて会社の支配力に強く影響を及ぼします。また会社の支配権という権利の他「配当」や「残余財産分配」などの経済的利益を享受する権利があるという点において相違します。2. 意義(1) 事業譲渡とは  事業譲渡とは、会社の事業の全部または一部を他の会社に譲渡する契約をいいます。事業譲渡は、事業譲渡契約書の締結と資産負債の譲渡で手続が完了します。また譲渡会社が多額の債務を背負っていたり、簿外債務の存在が懸念されたりする場合に利用されます。最近では事業再生の局面で活用されることも多い手法です。  事業譲渡のメリットとデメリットをまとめると、次のようになります。Q25A25事業譲渡と株式譲渡との違いは何ですか?1234譲渡会社・譲受会社とも必要な事業のみを売買すればよい。譲受会社は、簿外債務や偶発債務のリスクを負わなくてもよい。譲渡資産に不動産が含まれる場合、移転税(不動産取得税・登録免許税・印紙税)の負担が発生。※1譲受会社は、営業権を計上できる。* 営業権=事業譲渡対象資産の時価-事業譲渡代金営業権は5年で償却できるので、譲受会社は将来の節税が可能になる。譲渡会社は、譲渡資産の譲渡益に対して課税される。譲渡会社は、譲渡資産の譲渡損を活用して法人税の軽減が可能になる。※2譲渡部門の従業員は、譲渡会社を一度退職し、譲受会社に再雇用されるので、退職関連の諸手続が必要。譲渡会社の保有する許認可は、原則として譲受会社に承継されない。※1メリットデメリット※1 平成30年度中小企業等経営強化法の改正により、「M&Aによる事業承継」が支援の対象に追加されました。経営力向上計画の認定を受けることにより、①登録免許税・不動産取得税の軽減、②許認可承継の特例、等の支援措置が利用可能となりました(令和4年3月31日まで)。※2 グループ法人税制により、グループ内で含み損を利用した節税は防止されています。実行にあたっては、税理士等の専門家に確認が必要です。Ⅵ Q&A集Q 25 事業譲渡と株式譲渡との違いは何ですか?

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