令和元年度版 中小企業経営者のための事業承継対策
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Copyright ©2019 SMRJ All rights reserved7【ケース3】後継者に事業用資産の集中が出来なかったケース【ケース4】自社の魅力(製品に対する思い等)を後継者に承継できず、      取引先との友好な関係を築けていないケースポイントポイント・自社の魅力を後継者に伝えることができていないため、取引先と友好な関係を築 けていない事例。・現経営者から後継者に対して積極的に事業についての対話を行うようにし、自社 の強みについて一緒に考える機会を増やす必要がある。H:機械製造業のオーナー。創業時からの顧客や新規の顧客から自社の技術に高い評価を得ており、H自身も製品にこだわりがある。E:小売業、製造業等数社のオーナー。資産総額は十数億円(内訳は、現金の他、自社株式、事業用不動産、会社への貸付金等)。F:Eの長男。現在は代表取締役社長。G:Eの次男。以前、グループ会社の経営に従事していたが、バブル期に本業以外で多大な損失を発生させたために追放されている。I:Hの長男。後継者として取締役に就任して久しい。・相続予定者の中に意思の疎通が図れない人物が存在していたにもかかわらず、十分な生前贈与や遺言の作成がなされなかったため、後継者に事業用資産の集中が出来なかった事例。(例えば、遺言書を作成することで、次男Gの権利を法定相続分の半分の遺留分(19ページ参照)まで下げることも可能)● Hは、長男 I を取締役に就任させることにより、仕事を通じて、Hが創業以来こだわり続けた製品の魅力を理解してもらえると思っていた。● しかし、 I の仕事ぶりを見ていると、 I には自社製品の魅力が伝わっていないようにHは感じている。また、取引先とのコミュニケーションもあまり積極的には行っていない。Hも高齢となり、長年自社と取引してもらっている顧客のために、今後も自社の製品を製造し続けていけるか、毎日焦りと不安の日々を送っている。●Eが死亡して相続が発生。遺言書が作成されていなかったため遺産分割協議開始。●Fは、Eの配偶者とともに事業用資産の全てを相続する案を作成して提示したが、Gはこれを拒否し、法定割合での相続を主張。結局、法定割合に基づき、事業用不動産の一部や会社への貸付金等をGに相続させざるを得なかった。●小売会社はGへ債務を返済したため資金繰りが逼迫。また、Gは事業用不動産を第三者へ売却する可能性を示しつつ、比較的高額での買取り要求等を行ったため、最近では他の事業にも悪影響が大きくなっている。

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