経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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株式会社二印大島水産初計画より遅れたが、平成27年(2015年)4月に完成し仮工場から移管を実施し、生産を開始することが出来た。新工場への移管がスムーズに行われたことは、綿密な移管計画、品質・味覚確認、衛生管理など徹底してシミュレーションした成果である。更に、生産管理システムにおいては新受発注システムへの移行が完了。これらの仕組みが構築され、実行される中で、鮮魚仲買業で培った経験に頼りがちであった社長が、計画経営の重要性に気づき、実行への意識が高まっていった。 しかし、新たな下記の課題が浮上した。1)営業利益の黒字転換への課題魚種原料の高騰や新工場建設等による償却費負担増で収益への影響が懸念される 。2)新商品開発と営業力強化売上拡大、収益確保には、鮮魚に近い既存商品に加え、マーケットイン視点で付加価値の高い新商品を開発し、営業力を強化していくことが必要。そして真の食品加工業の会社「新生大島水産」を誕生させる必要がある。3)更なる計画経営の充実これらの新たな課題を解決し、復興をより確実なものとするためには、継続支援が必要と判断し、第3ステージでの支援を決定した。<専門家継続派遣事業③> (平成28年4月~平成29年3月継続支援中) 第3ステージでは、新たな課題解決を解決するための支援を実施。主な支援内容は下記3項目。1)新商品開発①開発展開計画書の立案と実行②開発体制の確立と営業力強化・プロジェクトの編成・市場調査・分析・試作・生産・販売体制の構築・販売戦略(商品及び売価)の構築2)営業利益の確保。償却費や材料費増の吸収①品質管理の徹底(品質の安定化)②人時生産性管理の徹底(目標設定と実績管理)③生産性改善活動、材料費削減活動の強化・徹底。3)更なる計画経営の実践以上の支援の結果、「計画ありき」の考え方、具体的な行動計画(5W2H)の作成、PDCAの実行が身につき、計画経営が進化した。具体的には、社内において「見える化」が進むと同時に社員のヤル気が高まり、人材育成に貢献している。また、新商品開発計画の立案と展開実行においては、プロジェクトチームを編成して取組み、当社初の女性メンバー2名が参画した。女性らしい発想の提案があり、活発なチーム活動となった。その結果、水産加工食品の新商品が生まれ、今後、売上への貢献が期待出来るようになった。また、営業利益の確保については、材料費の削減を目的として、仕入先の見直し、歩留り改善等を実行し、材料費率を下げることに成功した。更に、作業効率向上を目的として、「労働生産性」を設定した。充填機の活用拡大等により平成27年(2015年)4月期実績 5kg/1H ⇒ 6kg/1H。人時生産性は約20%向上した。 このような取り組みの結果、平成26年(2014年)4月期と比較し平成28年(2016年)4月期は売上高約16%増収と一定の成果は出たが、経常利益は約65%の減益となった。減益の分析・改善策はすでに講じられており、平成29年(2017年)4月期は新商品開発や拡販活動の効果も表れ、増収・増益を予測している。 これまでの支援で培ってきた仕組みや組織文化を更に継続・定着化させ、東日本大震災からの完全復興を遂げること。その為に、下記4項目が課題となる。1)計画経営の継続的な実行で経営の安定化を図る。2) 競争の激しい「ネギトロ」のリニューアル、マーケットインの視点で新商品を切れ目なく開発し、営業活動を強化していくこと 。3) 生産性向上、品質管理・衛生管理の充実で顧客からの信頼を確保すること。4) 事業承継の継続検討と具体的な展開及び人材育成。これらを不断の実践により、中長期的な計画づくりとPDCAの徹底で目標達成してほしいと祈念している。今後の課題経営者のことば 全国的に産地魚市場への水揚げは年々減少の一途で、震災前より当産地の水産業界を取り巻く環境は大きく変化してきていました。その様な中、東日本大震災により被災し、経営資源のほぼ全てが流出。ならば、次の時代(将来)へ向けて「0」から出発しようと決め「業態変換」を目標に復興へ向かいました。これから5年、10年先へ向け、中小機構の支援のもと、中短期事業計画を策定。現在は「三方良し」の経営を目標に、これまで頂いたアドバイスを活かしながらPDCAを回し、ITによる生産管理、改善による生産性の向上、更に新しいマグロ加工品で差別化できる商品づくりを実践中です。代表取締役 大島 忠俊社長

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