経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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有限会社岡田商店店は季節の果物、野菜が広いスペースに八百屋のように陳列されており、賑わいを演出している。よく見かけるラップで包装する方法と一線を画しており鮮度感が際立つ。 事業環境、立地とも特に恵まれてはいないが、21期連続して安定した利益を計上し特にここ2期は好調で、売上高経常利益率は高水準。その要因の一つは売上の50%弱を占める果物、野菜を卸売市場で社長、バイヤーがセリまたは相対取引により毎日仕入れ、“利は元にあり”を実践していることにある。また加工度の高い惣菜に力を入れていることも後押ししている。食品スーパーとしては小規模な企業であるが、特色を生かした取組みにより顧客の支持を受けている。中小機構との出会い 当社との出会いは日本政策金融公庫鳥取支店の紹介によるものである。同公庫広島支店で開催された融資課長研修会で中小機構の専門家継続派遣事業による支援事例を説明したことが契機となった。 社長と常務にお会いしたが、社長は事業承継約1年でトップの道を歩み始めた時期であった。自分なりの考えはあるものの発言は控え目で、早朝から率先垂範して仕事に取組んでいる様子がうかがえた。店内をご案内いただくと来店客も多く主力商品の果物、野菜の陳列は独自の工夫が見られ、従業員と顧客が気軽に話す姿が印象に残った。 当社は設立して30年強であり、会長(社長の父)と常務(同母)が長年手塩にかけて育てた企業であることは、お話しする中で十分感じ取られた。それだけに新社長にかける期待は容易に察せられた。このようなことから今回の支援は事業承継の一環であると考えた。プロジェクトマネージャーの視点と支援課題の設定 当社の店舗が立地する地域においてはここ10年、チェーン店の出店が相次ぎ競争は激化している。その中で当社の売上高は微増ながら増益を確保し経常利益率は高水準、財務内容も優れている。一方で商圏内に新たな競合店が出店する可能性も考えられ現状に安住することは許されず、業務効率化と付加価値額拡大を同時に生む取組みが早急に求められると考えた。 そこで、先ず「在庫削減」に着目した。在庫は仕入~販売の総合的な管理レベルを端的に表す指標であり、商品鮮度、ロス率に大きな影響を与える。また、在庫削減活動の結果は定量的な把握が可能で成果を共有できること、活動がほぼ全員の参画であることからプロジェクト活動を軌道に乗せる強力なメッセージ発信になると期待できるからである。 次に店舗業務の効率化に取組むことの必要性である。業務の効率化→余力創出→成長性のある部門や利益率の高い部門への人材投入を行うことができるからである。具体的には複数業務を担当できる「多能工化」を推進し柔軟な作業シフト編成により、固定費を抑制しつつ業務の増加に対応できる体制を作ることである。そして、消費者ニーズが高く自社の加工度が高い商品に着目し、上記効率化の成果をこうした商品を取り扱う部門に投入して、利益率の高い部門を育成していくこととした。 なお、プロジェクト活動は売上の大半を占める本店と宗像店とした。プロジェクト推進体制 総括責任者は岡田社長、推進責任者は2名の店長とした。メンバーは各部門責任者が務め、当社の意思決定者と現場の責任者が参画したプロジェクト体制とした。 一方、アドバイザーは中小機構売上高と経常利益

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