経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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林精器製造株式会社管理)低減、生産性向上、営業利益増加を新たに事業目標達成のための指標とした。新たな管理指標により月次・期間の利益管理が財務会計に頼らず出来る方法に移行。月次管理が徹底され、利益情報の共有化が促進された。 高効率生産の課題は、①過去に設定された工程の品質基準が“容認される不良”と理解され、改善されないまま放置されている。②生産リードタイムが長く、“部門まかせが多い生産計画”となり仕掛増加の原因となっている。③精器事業部における“最終工程の生産力が不足”し納期遅れを出す。などがあげられ、利益目標達成の障害となっていた。 その結果、具体的な改善は、①品質改善に対する意識改革、②リードタイム短縮、③3ム改善活動の徹底展開となった。 また、最終工程となる研磨工程には第2ステージからの継続テーマとして、研磨技能の伝承、工程改善による直行率向上そしてスキルマップによる技能向上が実施された。さらに、技能レベルが向上した事により人員投下による生産力強化が可能となった為、ボトルネック対策も加えられた。 これらの結果として、行動計画の実施率も向上し、個別改善を全体最適化してゆく改善活動に弾みが付き始め、活動が活性化されてきた。目標達成を確実化するためには、事業部全体のボトルネック対策が横串として必要であり、もう一段の利益創出施策を必要としている。<専門家継続派遣事業④>(平成27年6月~平成28年5月) 第4ステージは利益体質の構築を確実化し、精器事業部採算目標を達成していただくため、一年間の期間を延長して支援をおこなった。テーマとしては、TOC導入による強固な企業(利益)体質作り及び生産性の向上とした。 精器事業部としての黒字化から、さらに本社部門経費配賦分を賄える利益目標を達成するためには、採算改善を目標にした諸施策の全体最適化が必要である。そのため、TOC手法(制約理論に基づく改善)の導入と目標を「TP(スループット;売上-材料費-外注費)の最大化」にした。 SWOT分析、ボトルネックの洗い出しを行い、①売上金額の守り切り、②TPの最大化、③予算意識の改革を重要施策として設定し、今までの活動も踏まえて、それぞれの目標とチームごとの行動計画を決め、重要施策系統図を作り体系的に進捗と成果が把握できるようにして活動に入った。 組織ぐるみの改善活動として月次予算実績会議を設定。PDCAを回すことによる改革改善のスパイラルアップを促進、議事録と報告により、トップとの情報共有化が図られた。 無駄の削減による経費削減、リードタイムの短縮、在庫低減、研磨工程の直行率改善、コア技術(研磨)の技能伝承の仕組み構築及び技能マップによる技能訓練の充実、ボトルネックとなっていた研磨工程への生産力強化、品質改善意識の向上、コスト意識の向上、業績管理のシンプル化などが実施され、チームごとの行動計画の実施率が向上し、成果として採算性が改善され、利益体質が強化された。これらの結果、受注増加もあり、利益の大幅な伸びが生じ、精器事業部で、目標利益率が達成されるとともに、全社的な黒字化にも貢献することができた。 第4ステージまでのプロジェクト活動により、精器事業部の生産性向上、改善活動のPDCAサイクルの回転が着実に行われるようになり、利益体質の形が整ってきた。今後は、残存の課題も取り込み、活動の継続と定着を図り、利益体質を確実なものとする事が重要である。 また、プロジェクト活動の成果として、QCD意識の強化、シンプルな管理会計、管理指標の適正化などにより仕組みが構築された。今後は、それらを業務標準として規定化し、全社展開を図ることが課題と云える。今後、戦略的CIO育成事業での支援が計画されているが、IT化によるさらになる利益体質の強化を期待したい。今後の課題経営者のことば 中小機構・東北の専門家派遣事業を開始した平成25年(2013年)当時、東日本大震災に見舞われた当社は事業の継続すらおぼつかない状況の只中にありました。グループ補助金の活用で再建した新工場の立ち上げを機に収益の改善を図ることを目標に掲げ、TOC理論のボトルネック排除でスループットの最大化を目指すことを定めてアドバイザーの先生方と幹部社員が一体となって活動することで、現場の意識が徐々に代わりました。その甲斐あって、支援最終年度においては事業計画を超える収益体質に変革することが出来ました。粘り強く指導していただき、本当に感謝しています。代表取締役 林 明博社長

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