経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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援」 おおまかに3種類(モバイル系小型電池、電気自動車用電池、据置型電池)に区分されるリチウムイオン電池市場で、ターゲット市場をどこに絞り込むかについて検討した。それぞれ必要とされる性能に違いがあるため、当社の炭素繊維が持つ電池出力を上げるという特性を考え、電気自動車用電池の市場を狙うことをアドバイスし、当社として検討の上、進出することを決定した。 電気自動車用電池メーカーは、テストを実施する際に実物のリチウムイオン電池を使用するため、相当な労力と費用を要する。労力と費用をかけてでも試してみたいと電気自動車メーカーが魅力を感じる技術内容の提案方法についてアドバイスを行い、技術提案書を完成させた。 今回の支援成果として、均一で密度の高い炭素繊維を安定的に製造する方法を見つけ出したことと、電気自動車用電池の分野というターゲット市場を見つけ出し、その分野に向けての技術提案書をまとめることができたことが挙げられる。 さらに、炭素繊維の製造方法は当社の新事業展開を進めて行く上でのコア技術となるため、特許出願をアドバイスしたほか、NEDOの「新エネルギーベンチャー技術革新事業」の採択にもつなげることができた。 1期目の支援終了後、当社から中小機構の支援に対して高い評価をいただき、引き続き支援をお願いしたいとの強い要請を受けた。 北陸本部で検討を行った結果、2期目の支援として事業化に向けた量産体制の確立やマーケティングを支援することにより「リチウムイオン電池の電極向け材料」の市場に参入、事業化できる可能性が高いと判断し、継続支援の実施を決めた。<第2期>(平成22年11月~平成23年10月) 2期目の支援テーマは、1期目の実績を受けて、「リチウムイオン電池の電極向け炭素繊維の事業化に向けた量産化技術の確立とマーケティング」とした。①「事業化に向けた量産化技術の確立」 量産化に向けた技術的問題の解決に向けて支援を行った。 前述のとおり、電気自動車用電池メーカーは、実物のリチウムイオン電池でテストすることから、仮にサンプルで良い結果を出して採用の可能性が高まっても、同じ品質で大量に供給できなければ採用されることはないため、量産化技術の確立は事業化を目指す上では、必ず乗り越えなければならない目標である。さらにコストにおいても厳しく判断されるため、その点を意識した量産化技術の確立が必要であった。 1期目の支援において、炭素繊維を製造するための最適の条件設定を見つけ出したが、その方法で炭素繊維を量産すると品質にばらつきがでることがわかった。そのため、量産工程である「紡糸原液の作成」「紡糸工程」「炭化工程」「黒鉛化工程」「解砕・分級工程」のどの工程で問題が出ているのか、詳細に調査し、担当研究員及びプロジェクトメンバーと一緒に議論しながら支援を進めた。 その結果、各工程における条件設定の見直しを行うことにより、量産化に目途をつけることができた。②「事業化に向けたマーケティング」 当社がリチウムイオン電池に関連する展示会に積極的に出展する際の、メーカー担当者への接客方法について支援を行った。具体的には、情報収集や商談につなげられるよう自社の炭素繊維の説明の仕方や質問に対する対応、相手からのニーズの引き出し方等について、OJTにより支援を行った。 その結果、国内外数社との商談につながり、サンプルを納入することができた。その中で、海外の電気自動車用電池メーカーからはサンプル納入後、すぐに連絡があ増森 正樹 北陸本部 統括プロジェクトマネージャー先端分野に果敢に挑戦、難度の高い技術課題を克服し、事業化への道筋をつけることができた。当社の核となる事業に発展することを期待している。長年培ってきた自社の保有技術を活かして、成長が見込まれる新しい分野に挑戦

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