経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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タカハ機工株式会社ある。そして、その強みを活かすべく、まずソレノイドが活用される業界、企業、機械装置を徹底的にリサーチした。これはと思う分野を特定し、当該の有力企業に連絡を取り、取締役と営業部長を交え新規の顧客獲得に努めた。 また、平成20年頃よりホームページから注文を受けるインターネットのBtoC販売を始めた。金型を自前で製作できる能力を活かし、品種が増えても少量でも販売することにした。 これらの施策が功を奏し、平成22年くらいから「寝ても覚めても資金繰りの日々から、経営に少し余裕が出始めた」状態に回復した。売上高は5億円だが、利益額は最高売上時と同じ程度となり、利益率が格段に向上できた。 社員は82名だが正社員は23名。残りはパート社員だが、60歳過ぎた方も再雇用で活躍中であり、最高齢者は70歳近い。社長は、「当社のささやかな自慢は、離職率が低いこと。景気が悪くなっても解雇しないで頑張ってきた。」と語っている。 なお、当社は、産業社会の発展に貢献しよう!という志を胸に、苦境にあっても新製品の開発・研究を続けており、従来品と比べサイズは同じでも、吸引力が約40%向上する「ヘラクレスソレノイド」や32%の省エネ性能を持つ「エコソレノイド」などを開発、特許も取得している。中小機構との出会い 平成23年4月に、飯塚市主催による中小企業の経営層向けの講演会で、中小機構の支援制度の説明を行った。製造業の方が多数参加しているため、支援制度は専門家継続派遣事業を中心に、原価管理制度構築とそれに基づいた原価低減活動の重要性について話した。その講演会に社長と取締役が参加しており、終了後、「当社が課題とする原価管理でアドバイザーの派遣をお願いしたい」との要請があった。 そして事前の調査を行うと、原価管理について他社よりも進んでいた点が2点あった。一つ目は、月次決算を早くしないと機敏な対応が打てないため、月末から2営業日で数値を集約し前月決算を実施していたこと、二つ目は、引き合いの段階で、営業スタッフが原価を見積り原価分析表にまとめ、販売価格を設定していたことである。経験値で販価を設定する企業が多い中、当社は原価を管理する基盤は不十分ではあっても備わっていた。 それでも社長からは「当社は、何とか危機を脱したが、まだまだ余裕はない。さらに利益体質を強化し、末長く続くメーカーであるために原価を管理する力と営業力をつけたい。今の原価のやり方を検証し、目標利益率を目指し、足りない分を改善したい。」と強い意欲が示された。プロジェクトマネージャーの視点と支援課題の設定 多くのモノづくり企業が中小機構に支援を要請する際は、工場や製造ラインの生産性や品質向上の改善を望む例が多い。原価を管理する仕組みがあってこそ、改善活動の目標設定や成果が把握できるが、管理やその仕組みの重要性に着目する経営者は少ない。原価の管理基盤を築き、次に改善へ進む支援は中小機構九州本部では初めての事例であり、加えて経営者の意欲や管理レベルの高さからも支援の必要性は高いと判断した。そして、派遣するアドバイザーには電子部品メーカー出身で、以前から原価管理と実際の改善への連続的な活動に強い意欲と経験が豊かな方を選び、企業とアドバイザーとの打合せを経て、2期に渡る支援を計画した。 まず1期目の支援では、原価を売上高と経常利益ヘラクレスソレノイド

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