経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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反面、工場では決まり事の目的や真意を分らずに実施している面も多々ある。やらされ感があり、身についた、役に立っている、という感覚が無いのも事実である。3工場の具体的な課題は、①製造現場のリーダーの育成=改善の意欲を持つスタッフを育成する。②スタッフ育成の一助として、生産性向上のための知識とコストダウン技法(工程の分析、適正在庫の見直しなど)を習得させる。③業務改善活動のP(問題の把握と改善の提案)・D(すぐに行動)・C(効果の評価)・A(再検討または定着化)のサイクルの速度を上げて工場の生産性・品質を向上させる。 以上の共通認識と課題整理を経て、今回の専門家継続派遣事業の支援テーマは次の2つとした。15S活動をトリガーに現状を見る目を養い、工場内の不具合の低減と改善を図ることを目標とした、生産性・品質向上活動の推進。2この活動を通じ、工場の生産性・品質改善を推進できる人材の育成。 初めてカイゼンに取り組む工場でもあり、アドバイザーの選定には検討を必要とした。食品業界の経験は無いが、生産性や品質向上、それらの管理の技法に精通し、製造現場のスタッフ育成で多くの企業への指導歴を持つ、自動車メーカー出身のアドバイザーにお願いすることにした。 企業側では、当初、次代を担う従業員1~2名とアドバイザーとのマンツーマン形式による活動を考えていた。しかし、工場の生産性や品質の改善を推進できる人材を広く育成していく観点から、工場の製造2部署、開発、管理の全4部署の21名(含むパート)全員が今回の活動に参加してもらい、プロジェクトチームには各部署長と次位者をリーダー、サブリーダーとし、全体責任者を工場長とする12名のチームで推進することにした。 また、活動の進み具合を広く知らせるため、開始月から終了までの9カ月間に活動発表会を中間時・終了時に全員参加で行うことと営業等の工場以外からの参加も頂くことにし、全社的な活動となるようにした。〔支援のプロセス〕<ステップ1:座学と演習> 改善点の見つけ方、5Sの導入、問題の分析手法など毎回1時間程度で知識を習得し小規模の机上演習を通じ体得する。<ステップ2:各職場の実態把握> 学んだ知識を実際に活用し、自職場の実態を把握する。<ステップ3:進捗管理> 職場の問題点の改善順位をつけ、改善に取り組み、その解決度合いの進捗管理を行う。<ステップ4:定例報告> 毎月、工場長が工場全体を、毎回抽選で選ばれた職場のリーダーがその取り組み状況を報告する。<ステップ5:継続> 会社への仕組みとするため、担当役員が全社の経営会議で進捗を報告する。これらのステップを活動期間中、何度も繰り返した。〔活動の特徴点〕 具体的な改善活動を進めていく方法として、次の4点が特徴である。1自職場の改善すべき内容を職場全員から収集するため、付箋(ポストイット)を活用して改善内容を抽出し整理、それを一覧表化してやるべき改善を確認、実施・未実施を一覧表で管理、月々の目標達成度をグラフ化したことである。その達成度合いは毎回、定例報告を行った。2各職場で共通する問題点・課題は、どこか一つの職場がモデル職場となり改善し、他職場にも広め、その進みを管理したことである。これは自分の職場が主役となり工場を管理する体験を意図している。3作成されていた品質の基準を洗い直した。製造の各工程で何を管理すれば品質を守れるのか、守るプロジェクト推進体制プロジェクト推進体制支援内容と支援成果支援内容と支援成果初めての工場カイゼンへの取組みにより次代を担う人材の育成を推進吉村 萬澄 九州本部 プロジェクトマネージャーできない言い訳よりはまず行動、改善効果を金額換算し意欲を向上させ、月例報告により活動を継続する仕組みができた。

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