経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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ことである。その杜氏は社長の妻であるが、島外から技術顧問として招聘した杜氏とともに、「女性にも抵抗なく楽しんでもらえる新しい焼酎」造りを担った。 二つ目は、音響熟成による製法である。これは貯蔵タンクに3カ月ほどクラシック音楽の音響振動を加え熟成を促す製法であり、貯蔵場ではクラシックの名曲が聴ける。 「れんと」のヒットや平成15年頃からの全国的な焼酎ブームにも乗って、最後発メーカーながら平成22年からは黒糖焼酎の売上規模でNo.1となり、業界のリーディングカンパニーに成長した。 また、「れんと」以外にも、「紅さんご」(アナタが選ぶ地酒大show2012春プラチナ賞受賞)や奄美大島の地域資源である“パッションフルーツ”と“たんかん”を活用した食前酒の「すっきりパッション」(平成20年度の農商工等連携事業計画に認定)などがあり、その他にも地元企業と協力して黒糖焼酎のもろみや粕から基礎化粧品や機能性食品の開発も手掛け、奄美大島全体の産業底上げにも熱心に取り組んでいる。 平成22年10月、奄美大島は記録的な豪雨で土砂崩れによる道路寸断等の災害に見舞われた。同年12月、九州本部長が復興支援策の調査のため奄美大島を訪れ、支庁や商工会議所、島内の有力企業及び農商工等連携事業での支援先企業をヒアリングした。 社長は、その時に中小機構が様々な支援制度を有していることを知った。当時、当社は第二期の中期経営計画の振返りを行っていたが、海外展開と工場の人材育成が今後取り組むべき課題として浮かび上がっていた。 その後の九州本部との打合せで海外展開については、同本部国際化推進室の相談事業を活用することで具体的な方法を練ることにした。また、工場の人材育成については、ハンズオン支援事業、特に専門家継続派遣事業の活用を提案した。 社長から、「そうした制度があることを初めて知った。ぜひ利用したいが、制度を利用させてもらえる工場かどうか一度、見て欲しい」との返事があった。 後日、本社を訪問し社長や営業・生産担当役員と面談し、工場長の案内を得て、工場見学を行った。また、3カ年の経営展望と方向を示した「中期経営計画書」や年度当初に計画した各部署の目標とその達成度を整理した「目標達成度判定記録書」も支援の検討資料として受領した。 この訪問の中で、社長から「生産性向上をスローガンとして掲げているものの、単にやれやれと言うだけで、どうしたら改善ができるのか、その技法を学ぶ機会を与えていない」との自省が印象的であった。 二度目の訪問で、前回訪問での感想と資料の検討を基にした論議の結果、経営層との専門家継続派遣事業による工場の改善を行っていく上で、以下の現状の認識合わせや活動の方向性の確認、課題の整理を行った。1当社は、奄美群島特産の黒糖焼酎では最後発メーカーではあるものの、売上トップの位置にある。今後、全国区でブランドを確立するためにも、新商品開発や現行商品の販売・流通の課題とともに、後述の工場の課題を解決することが不可欠である。2全社的な仕事の基準を平成19年に取得したISO9001で確立できた中小機構との出会い中小機構との出会いプロジェクトマネージャーの視点と支援課題の設定プロジェクトマネージャーの視点と支援課題の設定売上高と経常利益株式会社奄美大島開運酒造

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