経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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事現場評価表」などのツールを整備した。 その結果、社長自身が経営者としてやるべきことが明確となり、それを組織的に実行する基盤を確立することができた。社長の言葉を借りれば、「経営理念をどのように浸透させ、具体化すれば良いのかがわかった」ということである。また、幹部社員の意識が変わり、全社目標と部門、個人目標の関連が明確になったことで、今やるべきことの意味が理解され、どのような成果が得られるのかを共有することで組織的対応力や積極性が向上した。 第二期(平成21年11月~平成22年10月)では、中期経営計画と連動し、営業力強化と外注予算の設定及び実行体制の確立など外注管理能力の向上に取り組んだ。 営業力の強化については、本店営業部を中心に行った。建設、塗装事業ともに工事現場担当者の見積等の管理が甘く、営業担当者がカバーすることが常態化し、営業時間が不足するといった悪循環に陥っていた。 また、当社の3事業における外注加工費は、全社売上高対比で約60%に達する。立てた実行予算をいかに管理できるかが利益に大きく影響する。課題と対策を明確にし、営業活動と外注の先行管理を実施した。 成果が上がるにつれ意識の変化がみられ、最終的には平成23年度9月期の全社の外注加工費が昨年対比で約4.6%減少し、営業所の利益率は大幅にアップした。 さらに、当社の営業スタイルは、ルート営業と飛び込み営業が主体であるが、活路となる新たな商品等がなく、マンネリ化していた。この課題に対応するために、平成21年9月に営業と総務を加えた10名で「商品企画会議」を実施した。目的は、「新商品及びサービスの開発」である。その後、内部の打合せを経て、10月に第2回目の商品企画会議を実施し、「環境にやさしい無機塗料のPB商品」に関する具体的な取組みがスタートした。 第三期(平成23年2月~平成23年8月)では、データに基づく工事現場の生産性改善活動を行った。 平成21年8月のリーマンショックの影響は、取引先である大手企業の業績悪化を招き、前年度の売上と利益は大幅な減少となった。 派遣アドバイザーによる中長期計画の策定及び実行支援、営業力及び外注管理の強化の支援によって、幹部の管理能力向上やコスト低減体制の確立など、経営基盤の基本的強化は図られていたが、より確実に利益を上げ、定着させるため、生産性評価データに基づく利益確保の仕組みづくりに着手した。具体的には、プロジェクトメンバーで検討を行い、工事現場の生産性を評価するために、①現場利益(売上高-外注費-材料費-工事担当者人件費)②工期日程計画・実績差異(工程表工期日数-実際工期日数)③現場代理人実際出面数④外注実際出面数の4つの管理指標を設定した。また、早い段階で翌月以降まで先行的に管理するツール類を作成した。当社は、要素別原価管理体制はできていたが、部門別に原価を管理する体制は整っていなかった。そこで、まず直接費を部門別に管理しコントロールする指標と仕組みを確立し、第二期の支援で成果を生んだノウハウをデータとして把握し、定着する仕組みを作ったのである。 生産性改善活動と共に、教育プログラムを策定し、自社で人材育成ができるシステムも構築した。 支援終了後の決算では、前年度対比で売上高伸長率は120%を超え、利益も大幅に増加した。その理由は、第二期、第三期で取り組んだ外注管理等の生産性向上システムの効果として原価が低減できたこと、営業力強化の成果として、3事業ともに既存の主要顧客の売上が増加したことが挙げられる。新規では、マンション関連の受注工事が増えている。 2年間の支援を通して、社長、専務の努力を主体に、定量的成果に加え、社長、専務と幹部社員とのコミュニケーションの円滑化、プロジェクトメンバーの管理レベルの向上など意識の変化がみられた。社長は、本支援によって、幹部の意識が前向きに変化したこと、社内に体系的な攻めの仕組みが構築されたことを喜んでいる。 また、当社の支援は、現状認識後、中期経営計画の事業ドメインの検討から始まった。その結果、経営理念「価値ある商品」のリデ課題解決型先行管理の導入で利益基盤を確立山崎 純一 四国本部 統括プロジェクトマネージャー中長期の視点に立って環境変化に迅速に対応し、利益を確保するために、ビジョンを共有し、営業と現場を効率的に改善する改善するシステムを導入することで競争力の強化とコストダウンを実現した事例である。

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