経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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けた経験はなく、先代である会長の応諾をはじめ、受入体制を確立するための時間が必要だったからである。 中橋社長と弟である専務は、ともに40代前半と若く、カリスマであった会長が構築した経営スタイルを、次の時代に向けて進化させ、新たな「経営の軸」を確立する使命感をもっていた。 中橋社長就任当時の会長、社長、専務の三人の関係及び会社の状況は、以下のとおりであった。 会長は、相談役的な立場で二人を見守り、経営に直接口出しすることは控えていた。 実質的権限は社長に移行し、資金繰りをはじめ経営に関する全権を掌握する形となったが、会長とのコミュニケーションは重視していた。 専務は、柔道(型)の世界チャンピオンの経験を持つ社交的な熱血漢で、主に営業を中心に社長をフォローする体制をとっていた。 当社には、明確な事業計画書が存在しなかった。それは、主要な顧客が優良大手企業であり、社員が真面目でこれら企業に評価され、建設業、船舶塗装業、橋梁塗装業の3つの事業が安定していたことによるものであった。 しかし、造船業界における韓国・中国企業の台頭や、公共事業の減少などの影響で、取引先からの受注が減少することを予測し、将来の柱づくりを踏まえた戦略・計画等を策定する必要があると考えた。 平成18年に経営理念を策定し、社員に浸透させる必要性を感じていたが、その当時は、業績が安定していたこともあり、幹部社員の将来に対する危機意識は低く、日常業務をこなすことに重点を置いた管理が行われていた。また、浸透させるための具体的な方策やツール等も不十分であったため、組織的に理念をブレイクダウンさせ、社風に落とし込む体制が整っていなかった。 社内の意識改革を進めるほか、利益の確保に向けて環境変化に迅速に対応し、実行力を上げるための仕組みづくり(特に販売管理と外注管理)が必要と考えた。 推進体制としては、社長、専務を中心にスタートし、随時、タイミングをみて幹部を参加させる形をとった。 専門家派遣事業の第一期の前半は、社長、専務の2名で進め、後半からは、大手造船メーカー内営業所と多度津営業所の所長2名と本社営業部の部長、課長他3名を主体とするプロジェクトとして活動を展開した。 専門家継続派遣事業の第一期(平成21年3月~平成21年8月)として、中期経営計画を策定し、意識改革を図りつつ社内体制を確立する支援を行った。 計画策定にあたっては、理念とリンクした戦略目標や達成度評価指標の設定を行い、計数計画を策定することを重視した。 経営理念ややるべきことの意味を理解しやすくし、机上の空論を避ける狙いもある。 具体的には、社長、専務を中心に、中期経営計画の目的の確認、事業全般及び財務に関する分析等を実施し、事業ドメインの再設定を行った。当社の経営理念は、「価値ある会社(貢献=価値)、価値ある商品(リデュース、リユース、リニューアル)、価値ある人(熱意、誠意、創意)を追求します」である。 この理念を踏まえながら、戦略目標の設定や落とし込み(意義・目標・選択等)を行い、経営戦略・計画の大枠を決定した。その後、幹部社員を参加させ、部門目標の設定、詳細・要点の検討、問題点の洗い出しと各営業所の諸問題の抽出、優先順位づけなどを行い、「課題解決のための実施計画書」を策定した。 また、PDCAを回すために活用する「戦略課題進捗管理表」や「工プロジェクトマネージャーの視点と支援課題の設定プロジェクトマネージャーの視点と支援課題の設定プロジェクト推進体制プロジェクト推進体制支援内容と支援成果支援内容と支援成果売上高と経常利益中橋産業株式会社

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