経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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株式会社啓文社製作所よる増益を目指すことを基本方針とした。前半は、全社及び部門毎の中期経営計画と戦略的アクションプランを策定し、後半から予算管理用の短期計画(短期アクションプラン)の作成とその実行を図った。そして、月次の幹部会議でその進捗を管理していくことを始めた。 いずれも初めての体験であり、また、多忙な中、なかなか進まないことも多々あったが、苦しい時は、上記の「基本姿勢」に立ち返るようアドバイザーの叱咤激励が続いた。2)は、特に開発・設計力強化のため、VEを推進する「経営実務支援」活動を別途、発足させた。 生産性向上については、第1ステージの改善モデル職場活動を水平展開することを推進した。以上の支援活動により、以下の成果を得ることができた。1)収益構造の変化(前年度比較)・売上高:712百万円→745百万円(5.3%UP)・経常利益:7百万円→16百万円(129%UP)・主たる個別改善:外注部品の内製化、購入部品の転注・値引き折衝、VE、不良削減等2)計画経営の構築・中期経営計画の策定によりミドル~トップ層まで戦略的経営の共通認識ができた。・月次幹部会にて予算の進捗管理と、アクションプランに基づくPDCAの検証ができる仕組みができた。・今まで出来ていなかった営業会議が、月一回の定例会となった。 とはいえ、アクションプランに基づくPDCAサイクルのPDCまでは行くが、Aがなかなか実践できていない。また、売上高が若干増とはいえ、近年、減少傾向にあり、新商品の導入及び既存商品改良のスピードアップ、加えて更なる原価低減が喫緊の残課題であった。プロジェクト改善ルーム(管理指標等の見える化)第3期<経営実務支援事業②>(平成28年5月~平成28年9月(5ヶ月)) 第2ステージで策定した中期経営計画を達成するためには原価低減が必須であり、調達部品の形状や点数、造り方、メンテナンス性、市場ニーズに対応した機能付加を見直す必要がある。そのためには、開発部門の設計能力向上と原価低減を図る設計手法の習得・実践が急務であった。 そこで、第2ステージと並行する形で「自社製品の原価低減を実現するVE(※)手法の習得と製品設計能力の向上」を支援テーマとする活動を開始した。 プロジェクト体制は、設計部門長をプロジェクトリーダーとし、開発5名の体制を組んだ。中小機構からは、元大手製造メーカにてVEに精通したアドバイザーを派遣した。 具体的には、当社の柱製品「野菜用播種機」を改善のモデルとし、以下のVE基本手順を進めた。1)機能の定義・評価→機能系統図の作成2)テアダウンの実施・他社・自社製品をバラバラに分解し、コスト重量、生産性の面から自社製品との差を掴み、自社製品の改良や工程改善に生かす3)コストインデックス表の作成・形状、構造、工程、調達などコストに絡む全ての要素を他社・自社製品で比較する4)代替案(改善案)の抽出とその実施特に、2)は、負けている「差の情報」は何とかしようというやる気を引き出し、勝っている「差の情報」は、今後とも優位性を保とうとするやる気をもたらしてくれた。また、4)にあたっては、アドバイザーが直接、答えを示すことなく、1)~3)をベースに、代替案の発想を誘導するやり方を徹底され、主体性を重要視した。 以上の支援活動により、以下の成果を得ることができた。1)原価低減:▲20%(改善案321件抽出)2)重量低減:▲36%3)設計能力の向上・設計に必要な要件、原理・原則・現物の大切さ、共通化思想(固定と変動)の徹底など 特に3)は、部品構造を深く知ろうとせず、「実績ある先輩(前任者)の部品を、そのまま流用」としていたことが、設計者として恥ずかしいという発言も出た事が真の成果と言えよう。 当社の製造原価に占める材料比率は60%。現行の製品構造を前提とした現場の加工費低減だけでは原価は低減できない。製品構造そのものに踏み込むVEの活用が今後も大いに望まれる。

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