経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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株式会社啓文社製作所くしている雰囲気を一気に吹き払うような、やればできるという成功体験、改善マインドの醸成が、第一であると判断した。 そこで、上記2)の支援を最初に開始し、その後、2)の後半から徐々に1)に取り掛かり、2)の余力が出始め、更に1)のアクションプランに目途がついた頃に、3)、4)、5)へ順次、取り組む支援計画を考えた。 これを柴田社長へ提案したところ、自分達だけではできない中長期的な計画を真剣に考えていただいたと、賛同を得た。また、5)は、当社の人材・人員規模では中々できないと、当初こそ半ば諦めかけていたが、「人材は今回のようなブロジェクト活動を通して育成するしかない」と強く決意されるに至った。 企業側は、柴田社長を総括責任者、専務を推進責任者とし、製造部員をプロジェクトリーダーに据え、その他製造1名、資材購買2名、品管2名、営業2名、技術1名、管理1名など、全社各部門の若手を選抜し計12名のプロジェクト体制が組まれた。 プロジェクト名は、全従業員に覚えやすく、直接行動に結びつくキーワード「N:なくす、H:へらす、K:かえる」を取り入れた「NHKプロジェクト」と命名された。 一方、中小機構からは、(一社)中国地域ニュービジネス協議会の支援事業にて派遣したアドバイザーが既に厚い信頼を得ており、スムーズに支援活動に入ることができると期待されたため、当アドバイザーを継続する形で派遣することにした。第1期<経営実務支援事業①>(平成27年4月~平成27年8月(5ヶ月)) 第1ステージの全体支援テーマは、「生産計画~部品発注~入庫・保管~出荷に至る各ステージの徹底したロス削減」とした。たとえ短期間の支援活動であっても実践を通して得られる達成感とやりがいによって、プロジェクトメンバーの行動の質とスピードを変えたいと考え、以下の観点・手順を、管理者とアドバイザーへ事前に徹底的に話し合った上で、実行に移した。1)まず、関係者から、なかなか表に出にくい問題を事前に引き出すこと。2)工場のあるべき姿(モノと情報の流れ、モノの造り方)を議論し、実現に向けた課題を認識させること。3)価値作業とロスの概念を徹底させること。4)ロスを定量的に把握し、ロスの要因とそれを叩く改善案を網羅的に考えさせること。5)上記によって、現場の姿を完全に変えること。6)現場の実力が上がれば、生産指示計画、購入品調達計画を最小ロットに変更すること。そして、具体的には、大きく3つの領域で改善活動を推進した。①5Sの徹底、モノの流し方・工場レイアウト改善②情報の流れの見える化と各工程の効率向上③モデル職場の生産性向上特に、①は、「入口から全ラインが見渡せる工場」をあるべき姿とし、社長以下幹部社員も巻き込み、また一過性の整理・整頓に終わることなく、徹底した歯止めとその浸透に注力した。②は、これまで全社の関係者が集まって「顧客~営業~受注センター~購買~資材~製造~品管~サプライヤー」や「生産計画作成」の流れを見える化した経験がなく、次々と問題点が発覚。その都度、衆智を結集して各工程の効率向上、精度向上に向けた改善が実行された。③は、除草剤散布機の組立職場をモデル職場とした。自分達で設定した価値基準に基づき価値作業(57%)とロス(43%)を定量的に把握し、「NHK」の視点から改善案を108件抽出。全ての改善案は実行できなかったが、ロスは18%まで低減できた。なお、特筆すべき1つの事例として「電動ドライバーが真っすぐ降りず使い難い」という問題に、可動レールとバランサーを組み合わせた「からくり改善」(※)によって、お金を使わず現場の知恵と汗で解決したことは高く評価したい。(※)「からくり改善」とは、現場のムリ・ムダ・ムラに対し、一人ひとりの知恵と工夫で解決する取り組み。できるだけ自然の力を利用し、機構・構造はシンプルなものが求められる。 以上の改善により、以下の成果を得ることができた。 1)「入口から全ラインが見渡せる工場」の実現(設備・モノの高さを1600mm以内に制限)・廃棄物:28.2車分/4tトラック(224㎥)・スペース削減:工場▲51%、製品庫▲20%、梱包材テント▲77%、営業テント▲33%・安全、4M(Man、Machine、Material、Method)管理の習得と実践・預かり在庫管理表、長期滞留品処分表などの仕組み構築プロジェクト推進体制支援内容と支援成果

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