経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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春先のみの繁忙期生産から一年を通して生産・販売ができる農器具メーカへの脱却!―現場改善の成功体験から、各部門へ次々と改善・改革の波が広がり、最後は親会社にまで支援活動が拡大―育苗器は業界No.1商品として流通している。また、大手農業機械メーカの中国進出に伴い、平成19年に中国現地法人を設立。現地の大手農業機械メーカ生産拠点へ製品供給を行っている。 当社を取り巻く環境は、農業法人の農地集約化、農業機械市場の海外展開、TPPなど先行きは非常に不透明な状況にある。そのような中、当社の柴田社長は、経営基盤を固め、開発提案型企業として、地元に密着した、小さくても魅力ある企業を目指されている。 直接の出会いは、平成26年12月、当社の柴田社長(当時、専務)が、中小機構・中国本部事務所に、直接、来所されたことに始まる。当時、経営状況が逼迫し、地域の支援機関に経営相談に行かれたが、当該支援機関の管轄地域外であったため、当機構を頼って来られたもの。 親会社は、書籍販売を主な事業としており製造業のノウハウはなく、また、柴田社長も銀行出身で、製造現場の改善・改革をどう進めればよいか苦悩されていた。そこで最適な支援を探るため、あえて最初は、機構と連携している(一社)中国地域ニュービジネス協議会の企業OB人材派遣事業(中国経済産業局からの受託事業)を活用した。この活動にはプロジェクトマネージャーの私も可能な限り同行訪問し、当社の受け入れ状況、進捗を見極めた。 その結果、経営トップ層と現場の方々に、何とかしたいとの、やる気が十分に感じられ、当機構のハンズオン支援事業にて本格的に支援することとなった。 当社の売上は直近3カ年が8.5~8.8億円と横ばいながら、平成27年の経常利益は7百万円までに低下し、経営状況はかなり厳しい状況に置かれていた。支援直前に新社長に就任された柴田社長へ再ヒヤリングし、課題を整理すると以下の通りであった。1)新たな経営基盤を確立するべく、計画経営・経営管理の強化2)製造業として利益の源泉である工場の体制整備3)受注環境が厳しい中、折角受注・提案があっても納入できない開発力・設計力の不足4)拡販の強化を目指した営業体制の再構築5)当社の製品特性から春先のみが繁忙期となるため、一年を通して販売できる新商品の導入 しかし、上記課題の解決は、当社の経営規模、人員規模から短期間では困難であり、且つ、社内を暗中小機構との出会いプロジェクトマネージャーの視点と経営課題の設定支援メニューH25H26H27H28H29支援内容(支援テーマ等)経営実務支援事業①生産計画~製造に至る全工程のロス削減専門家継続派遣事業計画経営の構築と浸透経営実務支援事業②VE手法を活用した原価低減経営実務支援事業③PR広報の強化と仕組み構築経営アドバイス事業新商品開発・知的財産戦略の構築中小企業大学校管理者マネジメント工場コース 他-404812162002004006008001,000H25/6H26/6H27/6H28/6H29/6売上高(左軸)経常利益(右軸)単位:百万円売上高と経常利益支 援 前支 援 後戦略・中期経営計画はあったが、数値目標のみで、事業を変革していくための具体的なアクションプランなし。・全社及び部門毎の中期経営計画と戦略的アクションプランを策定。計画・中期経営計画の数値目標に基づく全社及び部門別のラフな短期計画は有り。・中期経営計画と戦略的アクションプランに基づく全社及び部門別の短期計画(具体的なアクションプラン)を策定。管理・仕組・月次幹部会議で予算目標に対する進捗は確認していたが、リカバリー追究が甘く、結果管理となっていた。・各種手順書類は存在したが、実態に沿ったタイムリーな更新はなされず。・月次幹部会にて予算の進捗管理とアクションプランに基づくPDCA検証の仕組みを構築。・月次営業会議を定例化。・各種情報管理のルールと仕組みの再構築。(開発情報の整備、品質マニュアル再整備、製造手順書の整備)。組織・人材・製造部内5課の負荷バランスが大きかった。・営業部及び開発部の人員・能力が不足。・製造部内5課を3課へ統合。・多能工化を推進。・スキルマップに基づく計画的な技能育成を推進。・営業部員の考え方が変わり、PR広報力が向上。・VE手法等を習得し、設計能力が向上。その他・改善マインドが低く、自ら改善していく風土にやや欠けていた。・やれば出来るという成功体験に基づき、改善マインドが大幅に向上。【量的変化】【質的変化】

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