経営課題解決 成功事例集─ハンズオン支援ベストプラクティス事例集─
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主要製品の生産性向上と受注型製品の生産技術開発でシェア拡大と収益力の強化に挑戦―マーケットインを目的とした生産体制の革新―は、簡易貫流ボイラの受注が多かったため、生産計画や材料の手配等は当ボイラの見込み生産を重視した生産管理パッケージを導入していたが、簡易貫流ボイラ生産だけではなく、食品機械や小型貫流ボイラの特殊品にも対応した生産体制の見直しが必要であった。 ボイラ工場については用地内に各工程が点在し横持ちが発生して非効率となっていることから工場の集約化が進んでいた。生産現場の現状は、①当日の出荷台数や生産台数などの基本的な生産情報が迅速に把握できる体制になっていない、②溶接、組立の各工程には、必要以上の仕掛品が「停滞」しており、製造リードタイムが長いなど、モノの流し方のルールがなく、現場任せで効率的にコントロールされていない状況で、基本を踏まえた改善が必要であることを実感した。 以上から、新たな市場を開拓し受注増に効率的に対応できる生産体制を構築するためには、情報システムの検討を通して全社的な業務のあり方を見直し、生産現場の取組みとうまく連携を図り、シナジー効果を発揮させながら進めることが望ましいと判断。最初に、現状の業務フローとあるべき業務フローを明確にして課題を整理し、情報システムでできることと情報システム以外で取組むべきことをIT企画書にまとめ整理をする。次に、情報システムとの整合性を取りながら、見込み生産が主体である簡易貫流ボイラのリードタイム短縮等に取組み、続いて海外展開の主要製品で受注生産である食品機械の生産技術開発を支援し生産の効率化を図る流れで支援を進めることとした。 戦略的CIO育成支援事業の推進体制は、社長をプロジェクトオーナー、事業統括本部長をプロジェクトリーダー、情報システム担当マネージャーを事務局とし、購買、生産計画、進捗管理等を担当している事業統括本部が営業と製造の接続点となる体制とした。派遣専門家の選定は、企業規模、情報系と生産系支援のシナジー効果などを勘案し中小機構本部と相談。本部登録の専門家を派遣することとした。 専門家継続派遣事業の推進体制は、常務取締役生産本部長をリーダーに、生産管理面については業務チーム及び生産部を中心としたプロジェクトメンバーを選定。現場改善については生産現場を中心としたプロジェクトメンバーによる推進体制を構築した。派遣専門家については、生産工程の改善や生産管理体制の構築等に実績のある四国本部登録の専門家を活用することとした。 推進に当たっては、支援の節目で両プロジェクトの進捗状況を確認し情報を共有しながら調整を図るなど連携して進める体制を構築した。プロジェクトマネージャーのひとこと 本支援の特徴は2つある。一つは、新たな市場開拓を目的とした生産体制の確立、生産技術の開発を実施したことである。定番製品である簡易ボイラのリードタイムを短縮したことで顧客対応力等が向上。在庫削減、生産性向上等の定量目標も達成され利益確保につながった。また、受注型である食品機械ELの効率的な生産を実現する取組みは量産体制の足がかりとなり、今まで以上の受注対応が可能となっている。 もう一つの特徴は、企業の業務に関する現状分析を戦略的CIO育成支援事業によって行い、全体業務のあるべき姿を明確にして情報化支援と生産系の支援をパラレルで実施したところにある。あるべき姿には、生産体制確立のための課題だけではなく販売との関連についても課題整理されている。この2つの特徴が新たな市場を開拓するための生産現場の改善、生産管理体制の構築に役立ったと思われる。 しかしながら、当社が今後、特に海外での販路拡大を視野に入れた成長を図っていくためには、本支援で習得した改善ノウハウ、生産技術、生産体制の確立を全社的に展開して意識レベルも含めた高度な生産力を確保する必要がある。今後は、PJメンバーを中心に全社的な取組みに発展させ、さらなる成果を生み出していただきたい。グローバルな視点で新たな市場を開拓し地域に根ざした一味違う製造業を目指し、勇気をもって改革に取組まれた姿勢に敬意を表したい。PJメンバーの真摯な取り組みは、今後の当社の礎になるだろう。地域を代表する企業として世界の市場にチャレンジしビジョンを達成することを期待している。山崎 純一 四国本部統括プロジェクトマネージャープロジェクト推進体制

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