中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 87 - Column#14(株式会社ケーヒン) 海外拠点でのリスクマネジメントの取組み! 同社は、昭和31年に創業し、自動車部品の開発・製造・販売メーカーとして、事業を拡大している。海外進出は、昭和63年、アメリカへの現地法人設立を皮切りに、中国、台湾、タイなど11か国に進出し、グローバルネットワークを構築している。 同社は、東日本大震災やタイの洪水経験を契機に、リスクマネジメントの取組みを本格化した。海外におけるリスクマネジメントの取組みとして、日本本社と現地法人が、国ごとに重要性・緊急性・拡大性の3つの観点から現地において想定されるリスクを洗い出し、洗い出したリスクへの対応計画と初動行動マニュアルを策定している。この取組みを始めて3年で、各リスクの対応計画やマニュアルの作成を一通り完了したため、現在では、リスクが顕在化した場合を想定した訓練の実施を推進している。例えば、平成26年度は、「中国の取引先の供給が自然災害でストップする」というシナリオに基づき、中国の拠点と日本本社が連携して対象部品の特定や代替生産の手配等を検討する訓練を実施した。この経験によって、実際に中国の取引先が台風による浸水・停電の影響で生産停止となった際に、スムーズに情報共有と代替生産等の対応を行うことができたという。 同社担当者によれば、継続的にリスクマネジメントに取組んだことにより、PDCAサイクルがうまく運用できるようになり、先手を打ったリスク対策を講じることができるようになってきたとの手ごたえを持つが、このようにリスクマネジメントを重視する風土が醸成されてきたのも、リスク管理の専門部署を設置する、各部の業務分掌の中に「リスク管理」を追加するなど、経営トップがリスクマネジメント態勢の整備・推進においてリーダーシップを発揮していることが大きい。加えて、要員が限られた海外拠点においてリスクマネジメントを推進していくには、日本本社から現地法人への支援が大変重要であるという。 平成26年8月 中国拠点と日本本社との連携訓練の様子 平成26年10月 台風による洪水発生で取引先の生産設備が 水没した時の様子

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