中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 86 - Column#13 (内外日東株式会社) 迅速かつ臨機応変に外部要因リスクに対応する! 同社は、昭和25年に創業し、輸出入手続きや通関業務を主な事業として、現在では、シンガポール、タイ、ベトナム、香港、マレーシア、インドネシアなどをはじめ、世界50ヶ国以上のネットワークを持つ総合物流会社へと事業を拡大させている。 同社の香港現地法人駐在経験者によれば、東南アジアでは他の地域と比べて自然災害や感染症など外部要因のリスクが高いという。平成15年に香港でSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した。香港は人口密度が高く、感染のリスクが高いことから、同社の香港現地法人は、感染者が発生したマンションの居住者は出勤停止とする、入居するビルで感染者が発生した階への往来を禁止するなど、可能な限り感染を予防するための手立てを講じたという。さらに、オフィス内で感染者が発生し感染が拡大することで事業が中断することがないように、一時的に事務所機能をオフィスとは別の物流拠点にも設けて二つに分散させ事業継続を図った結果、幸い事業継続に支障は生じなかったという。 緊急時にはどのように避難するかについても予め決めており、上記SARSの例では、従業員の家族を急遽帰国させるなど、従業員とその家族の安全・安心も併せて確保した。 また、香港に頻繁に襲来する台風については、その規模や進路によって政府が出すシグナルに応じた迅速な対応が求められる。同社では、労工処(香港の労働基準監督署)が作成したガイドライン(下表参照)に沿って規程を作成し、予め社内に周知するとともに、天文台(香港の気象台)が発信する台風情報等により適時適切な情報収集を心がけている。 同社が採用している台風襲来時の対応に関するガイドライン 同社では、香港労工処が策定した対応規準例を準用している。以下は台風シグナル8以上が発令された場合の例。 始業時刻前に発令が有効な場合 • 最小限の従業員を除いて勤務は不要 • 最小限の従業員は勤務を要する • 最小限の従業員が勤務が困難な場合は管理者に報告を行う 就業時間中に発令された場合 • 最小限の従業員を除いて業務を離れる • 最小限の従業員は管理者の指示があるまで勤務を継続する • 業務終了後勤務場所を離れるのが安全でない場合、管理者は従業員が勤務場所に留まることを許可する 始業時刻前に発令され、終業時刻の 3時間以上前に取り消された場合 • 全ての従業員は発令取り消し後2時間以内に業務に復帰する • 業務への復帰が難しい場合は管理者に報告する 始業時刻前に発令され、終業時刻の 3時間前以降に取り消された場合 • 最小限の従業員を除いて勤務は不要 • 最小限の従業員は予定通り勤務を継続する 終業時刻まで発令が有効な場合 • 最小限の従業員が終業後帰宅が困難な場合、雇用主が準備した避難施設を利用する。 ※香港では、台風の規模や位置等に応じてシグナル1(警戒準備)・シグナル3(強風)・シグナル8(暴風)・シグナル9(強い暴風)・シグナル10(ハリケーン)が発令される。

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