中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 70 - 16 労使間のトラブル 労働条件への不満に起因するトラブルや、解雇・退職をめぐるトラブルなどのリスクです。 ■想定事例 現地法人の従業員が待遇改善を求めて、会社に対する抗議集会を開いた。一部が暴徒化し、製造設備を破壊し、建物に放火するなどの騒動となった。日頃から労使間のコミュニケーションが悪く、日本人幹部による従業員への高圧的な態度などが発端であった。 一部の新興国においては、経済発展を受けた最低賃金の上昇などにより、操業停止に発展するような大規模なストライキ等の労使間のトラブルが発生することが多く、注意が必要です。以下のような対策を講じておきましょう。 計画段階 ■関連法規制を調査しよう • 進出先の労働関係法令の内容を確認しましょう。特に、賃金規制や労働時間、休暇など、従業員の労働条件にかかる事項は、事業計画の前提となるため正しく把握しておく必要があります。進出先によっては労働関係の法体系が複雑な場合もあるため、弁護士など専門家を通じて情報収集を行うと効率的です。 • (財)海外職業訓練協会「各国・地域情報」 http://www.ovta.or.jp/info/index.html ■労働争議発生状況を把握しよう • 海外の一部の地域では労働法の整備や最低賃金の上昇に伴い、労働争議が増加しています。進出先における労働争議の発生頻度や発生理由、解決方法などをあらかじめ確認しておきましょう。すでに現地に進出している日系企業や弁護士等の専門家から、具体的にヒアリングしておきましょう。 操業段階 ■就業規則を策定しよう • 進出先によっては就業規則の策定が義務化されていない場合もありますが、労使間トラブルを未然に防ぐために就業規則を策定し、労働条件を明確化しておきましょう。また、解雇事由を就業規則に明確に定めておくことで、トラブルの長期化を防ぐ効果も期待できます。 ■従業員に周知徹底しよう • 就業規則の内容を従業員が知らなければ意味がありません。労使間の定例会合で就業規則の内容を確認し合う、閲覧可能な状態で事務所に備え付けるなどして、定めた就業規則を従業員全員に周知徹底しておきましょう。

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