中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 68 - 15 人材確保の障害 人件費の高騰や、有能な人材の採用困難、人材の未定着(ジョブホッピング等)などのリスクです。 ■想定事例 現地法人で中堅社員が続々と退職を申し出て、人材の補充がスムーズに行えず、業務運営にも支障が生じることとなった。近隣に大規模な生産拠点を持つ企業が、開発拠点としての機能を拡充するため、好条件での引き抜きを行っていることが判明した。 一部の新興国においては失業率が低い、人件費が高騰しているなど、人材を確保しづらい状況にあるため、いかに人材確保を円滑に進めるかが重要な経営課題の一つといえます。以下のような対策を講じておきましょう。 計画段階・手続段階 ■雇用市場を調査しよう • 労働人口・有効求人倍率・離職率など、進出先の雇用市場について概要を確認しましょう。なお、雇用市場を把握する際は、幹部・管理職とワーカーを分けて考えることが重要です。進出先によっては、幹部・管理職となり得る人材は都心部での勤務を希望する傾向が強く、地方に拠点を置く場合、思うように幹部・管理職が採用できないケースがあります。 ■賃金情勢を調査しよう • 海外では、自分の給与や人事評価を仲間内で開示し合うことは珍しくなく、より有利な労働条件を提示する企業に応募が集中する傾向にあります。進出国(可能であれば進出地域)における平均月収・ベースアップ率や同業他社における給与額などを把握しておきましょう。 ■国民性や就労意識を調査しよう • 海外においては国民性や就労意識が日本とは異なることを理解しましょう。たとえば、突発的な残業を指示した場合、従業員に対応を断られる場合があります。現地の従業員がどのような姿勢で業務を行う傾向があるか調査しておきましょう。 ■人材採用計画を策定しよう • タイ・マレーシアなどの新興国の一部では、慢性的な労働力不足が発生しています。採用したい従業員に求める知識・技能を明確化し、採用の難易度について、現地の人材紹介会社などを通じてあらかじめ把握したうえで、人材採用計画を策定しましょう。 • 人材採用計画の策定や情報収集のできる有能な人事責任者(現地従業員)を採用・育成することも大変重要なポイントとなります。

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