中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 65 - 手続段階・操業段階 ■現地情報を収集しよう • 新興国では、税制に関する法令に具体的な要件が定められていない場合が多く、また、税務調査官の裁量により判断が変わるなどの流動的な運用状況が見受けられます。常に税務の専門家等から最新の情報を把握して、流動的な運用に対しても漏れなく対応できるよう準備しましょう。 ■税務手続きに関する業務手順を整備しよう • 申告手続きや還付手続きなどで不備がある場合には、追徴課税されたり、還付金を受取れないなどの不利益を受ける可能性があります。税務手続きを適切に実施するため、手続きの実施時期、必要書類、税優遇措置、損金算入の条件、現地での税務相談先、税還付手続き、税務調査の対応手順、本社との連携方法などを業務マニュアルに整備しておきましょう。マニュアルは、経理担当者が交代したときの後任者や新任担当者の教育などにも活用することができます。 ■移転価格税制に備えよう • 税務手続きに関して海外進出企業がよく遭遇するトラブルの一つに移転価格税制に伴うトラブルが挙げられます。移転価格税制とは、海外の子会社等の関連企業との間での取引価格を操作することにより納税額を圧縮する租税回避行為に対する課税をいいます。国ごとにその制度内容は異なりますが、進出先税務当局とのトラブルを回避するため、可能な限り当局が理解しやすい契約内容・取引形態・事業計画等を整備するとともに、取引価格の決定についても、現地法人との間の機能・リスクの配分をコントロールしやすい価格とし、適切に決定した証拠を保存しておきましょう。 ■税務担当者を選任・育成しよう • 海外では、従業員のスキルや業務への姿勢などに大きな個人差がある場合があります。得意分野や特性も踏まえて担当者を人選するとともに、OJTのみならず外部の研修などを通じて、税務に精通した担当者を育成しましょう。 ■税務調査で提出が求められる情報を収集・保存しておこう • 税務調査では、取引に関する契約書や取引内容を記した資料(特に取引価格に関するもの)などさまざまな書類の提出を求められます。税務調査が入った場合に提出を求められる情報について、事前に税理士など専門家に相談のうえ、あらかじめ整理し、保存しておきましょう。 ■本社との連携を確保しよう • 移転価格税制や二重課税などの問題は本社にも影響がおよぶため、本社と綿密な連携を取り、本国・進出先の双方の税務当局の見解を聴取するなど慎重な対応をとる必要があります。本社としても現地任せにすることなく、定期的な打ち合せを行うなど、進んで情報を共有しましょう。 <対策実施に際して支援が可能な外部機関> 相談内容 支援可能な外部機関 関連法令に関する情報を収集したい。 弁護士、税理士、会計士 税務処理について相談したい。 税理士、会計士 ※P.103「海外進出支援を行う公的機関等」もあわせてご確認ください。

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