中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 64 - 13 税務手続きに関するトラブル 税務調査への対応不備や、税の申告誤りなどのリスクです。 ■想定事例 実際に営業活動をおこなっていない駐在員事務所であったにもかかわらず、税務当局から、従業員が多いため実質的に営業活動を行っているPE(Permanent Establishment:恒久的施設)と認定され、課税された。 海外進出に際し、現地での納税は避けて通れません。しかし、日本とは制度内容や運用等が異なるため、思わぬトラブルに発展することも少なくありません。以下のような対策を講じておきましょう。 計画段階 ■租税条約、進出先における税制、法令・通達等を調査しよう • 税制は、国によって、手続きが煩雑である、規制が頻繁に改正される、要件が明確化されていない、などの要因からトラブルに発展することが多いテーマといえます。租税条約、進出先における税制、法令、通達など、税務手続きに関する調査を行うとともに、過去のトラブル事例もあらかじめ収集しておきましょう。また、法改正などの動向についても、専門家等から定期的に情報収集しておくことが重要です。 • 経済産業省「新興国における課税問題の事例と対策(概要版)」 http://www.meti.go.jp/publication/downloadfiles/shinkoukoku_gaiyo.pdf • また、「政府に納める」という点において、社会保険料と税金は似た性格をもっており、同様のリスクが想定されます。進出先における社会保険制度についても、あわせて調査しておくとよいでしょう。 ■専門家を確保しよう • 税務に関する問題は複雑かつ多岐にわたる一方で、「知らなかった」という言い訳が許されません。不測の事態を回避するためにも、進出先の税務に精通している会計士や税理士などの専門家とのネットワークをあらかじめ構築しておきましょう。 • 場合によっては訴訟に発展することもあるため、現地の税務関連法令に精通した弁護士をあらかじめ選定しておきましょう。なお、二重課税が問題となるケースについては、日本の税務当局との調整も必要となるため、本社の担当部門とも綿密な連携のうえ、事案の対応にあたる必要があります。 ■進出スキームに伴う税務リスクを把握しよう • たとえば直接投資にするか、中間持株会社を設立するか、といった進出スキームにより、日本本社と海外拠点間の取引に対する課税のされ方も異なります。検討している進出スキームにおいてどのような税務リスクが発生し得るかを洗い出し、グループ全体に与える影響を評価しておきましょう。

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