中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 63 - Column#7(独立行政法人日本貿易保険) 『代金を受け取れない』 このようなトラブルにも安心! 海外で新たなビジネスを行う場合に、取引相手が必ずしも代金を期日までに確実に支払ってくれるとは限らない。取引先が突然倒産するケースや、政情不安による政治・経済の混乱から取引先の支払いが滞ってしまうことも考えられる。 このようなリスクを回避するために、例えば代金を全額前払で受け取るという手段もあるが、商取引においては必ずしも前払とはならず、納品後に代金を受け取るいわゆる掛け売りが多いのが実情である。 代金未回収のリスクを回避する手段の1つとして、独立行政法人日本貿易保険(NEXI)の取り扱う保険の活用がある。NEXIが取り扱っている貿易保険は、海外のカントリーリスクといった非常危険や、海外の取引先の破産といった信用危険により、商品の販売代金が回収できないことによる損失や、商品を発送できないことによる損失をカバーしている。 例えば、以下のようなケースで、貿易保険が活用されている。 製品を製造・販売するA社は、海外現地企業のB社に商品を提供するため、同社との売買契約を締結した。ただし、A社は、B社の信用状態が不明であったため、NEXIに相談したところ、「取引先が破産した場合には、破産手続きで回収できる割合は非常に低く、債権者集会への参加など追加コストも発生する。しかも、海外での破産手続きは日本企業には不利に働く可能性もある。貿易保険を付保しておけば、取引先が破産した場合や代金の支払が決済期日から3か月超過した場合に、最大で販売金額の95%が支払われる。貿易保険を活用する方が時間・費用の両面で有利である。」とのアドバイスを受けたため、同保険を活用することとした。早速、A社は代金1000万円相当の商品をB社に発送した。 ところが、B社は急速な業務拡大により資金繰りに行き詰まり、A社は貨物代金を回収できずに自身の資金繰りに窮する状況となってしまった。 A社の場合、決済期日から3か月超過したためNEXIに保険金請求を行ったところ、請求から数週間で保険金約950万円の支払いを受け、自社の資金繰りに充当することができた。 海外のビジネスにおいては、日本国内の取引と比べ、さまざまなリスクが想定される。これらのリスクを軽減するためには、信用できる取引先を選ぶ、適正な条件で契約を結ぶ、担保をきちんととるなど、事前の対策ももちろん重要だが、海外の取引先を相手に、これらの対策を完璧に講じることは困難である。また、戦争や自然災害など、自社では防ぎようのないリスクに見舞われることもある。万が一に備え、貿易保険に加入しておくことも、選択肢の一つである。

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