中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 60 - 12 知的財産に関するトラブル 自社の特許・商標などの知的財産権が侵害される、また自社が第三者の知的財産権を侵害してしまうなどのリスクです。 ■想定事例 現地法人で生産した製品を日本で使用しているブランドで現地販売しようとしたところ、商標がすでに不正登録されていることが判明した。このため不正登録の裁定取り消し請求を申し立てたが、商標取り消しまでに長期間を要し、新たなブランドによる販売を余儀なくされた。 海外でビジネスを展開するうえで、知的財産権の保護対策は非常に重要です。他社に権利を主張され、現地において事業が展開できなくなるばかりか、損害賠償を請求されることもあります。以下のような対策を講じておきましょう。 計画段階・手続段階・操業段階 ■現地の知的財産制度を調査しよう • 知的財産制度は国ごとに異なります。自社の知的財産を守るためには、現地の知的財産に関する法制度、運用、裁判制度等の情報を収集しておくことが重要です。特に、アジア各国では法制度や運用が頻繁に改正されています。特許庁のホームページ等で各国の知的財産制度の情報を確認しておきましょう。 • 特許庁「外国産業財産権制度情報」 https://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/mokuji.htm • 特許庁「新興国等知財情報データバンク」 https://www.globalipdb.jpo.go.jp/ ■他社の知的財産権を調査しよう • 他社による自社の知的財産権の侵害だけではなく、自社が意図せずに他社の権利を侵害することも回避すべきリスクの一つです。他社の知的財産権を侵害しないために、海外進出前に、自社の技術が進出予定国ですでに特許出願されていないかなど、あらかじめ調査を行いましょう。調査は弁理士など専門家に依頼することが一般的ですが、特許庁ホームページのデータベースや、他社のホームページ情報等からも確認可能です。権利問題が発生しそうなものが発見された場合には、製品の製造・販売の中止、仕様・設計の変更、他社からのライセンスの供与等の対策を講じる必要があります。 ■専門家を確保しよう • 知的財産に関する各種手続きには、可能な限り現地事情に詳しい専門家に相談しながら進めましょう。また、万が一模倣被害等、知的財産関連でトラブルになった際にも専門家に相談することが重要です。独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)に配置された、民間企業での豊富な実務経験と海外駐在経験を有する専門家「海外知的財産プロデューサー」は、全国各地の中小企業等へ訪問して、海外展開における知財面のリスク対策や知財の活用方法等について、無料のアドバイスを行っています。必要に迫られたときに慌てて探すのではなく、普段から相談先を確保しておきましょう。 • INPIT「海外知的財産プロデューサー」 http://www.inpit.go.jp/katsuyo/gippd/index.html

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