中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 58 - 11 贈収賄 海外拠点において現地企業への不適切なリベートや、現地公務員からの不当要求による金銭の支払い等により罰せられるリスクです。 ■想定事例 現地政府の幹部に対して多額の金銭を提供したとして、現地法人の役員が摘発された。事業運営上やむを得ず行政手続き等を円滑に行ってもらうため小額の支払いを行ったものであると主張したが、特定の人物に繰り返し支払っていること、合計金額が高額であることから、贈賄と認定された。 贈収賄は近年世界的に取締りが強化されており、自社が現地公務員に直接金銭を提供していなくても摘発されるケースや、進出先以外の法律の適用を受けるケースもあります。以下のような対策を講じておきましょう。 計画段階 ■関連法規制を調査しよう • 贈収賄行為が発覚すると、関与した役職員はもちろん会社も罰則を受け、ひいては業務停止や許認可の取消しも想定されます。あらかじめ進出先の贈収賄関連法規制や、近時の執行状況(罰金が高額化の傾向にある等)を確認しておきましょう。 • 進出先の法律だけではなく、米国の「海外腐敗行為防止法」や英国の「贈収賄防止法」の内容も把握しておくことが重要です。これらの法律には、「域外適用」に関する規定があり、米国・英国の銀行口座を経由している、米国・英国の企業等を通じて贈収賄が行われている、など一定の要件を満たしている場合には、米国や英国以外の地域で発生した贈収賄行為であっても摘発されるケースがあります。 ■進出先の贈収賄リスクに関する情報収集をしよう • 国によっては贈収賄行為が横行していることも事実です。トランスペアレンシー・インターナショナルが公表している腐敗認識指数を参考に進出先のリスクを把握しておきましょう。 • TRANSPARENCY INTERNATIONAL https://www.transparency.org/ • トランスペアレンシージャパン http://www.ti-j.org/ • 業種・業界によっても贈収賄の発生リスクは異なります。すでに進出している企業からヒアリングするなど、現地情報を収集しておきましょう。 ■現地パートナーや取引先の調査をしよう • 自社が贈収賄に手を染めていなかったとしても、現地パートナーや取引先が贈収賄を行っていた場合、共謀しているとみなされ摘発されるケースがあります。現地パートナーや取引先との契約締結前の調査では、このようなリスクを考慮し、相手企業の合弁事業・大規模開発事業の実施状況や、政府との取引状況などについても可能な限り情報収集をしましょう。 • 現地企業の情報収集を自社だけで行うことは難しいため、専門の調査機関の情報を活用することも検討しましょう。

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