中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 52 - 8 顧客とのトラブル 売掛金の回収失敗や、顧客からの納品予定製品の引き取り拒否などのリスクです。 ■想定事例 新たに現地企業と取引を開始したが、契約において品質に関する詳細な条件を合意していなかった。商品納品後に品質に関して難癖ともいえるクレームをつけられ、代金の支払いを拒否された。長期間の交渉により、代金の半分を回収することでの決着を余儀なくされ、多額の損失を発生させることとなった。 現地企業との取引においては、商慣習の違いや契約意識の違いなどから、日本企業との取引に比べて売掛金が回収できないなどのリスクが高くなりがちです。以下のような対策を講じておきましょう。 操業段階 ■信用調査をしよう • 債権回収の際などにトラブルにならないためにも、主要な取引を開始する前には第三者の信用調査レポートを取得するなどして、顧客の調査をしましょう。さらに、可能であれば顧客への直接のインタビュー、同業者や取引先等からの聞き取り調査を行うようにしましょう。なお、既存の取引先からの紹介であっても安易に信用せず、上記調査を怠らないようにしましょう。 • 信用調査の結果、リスクが想定される取引については、リスクの小さい支払方法を選択するとともに、当初は規模の小さい取引からスタートすることを検討しましょう。 ■契約書を作成しよう • 「これまで契約書なしでも特に何の問題もなかったから」と、契約書なしにメールの注文や発注書等だけで取引を行うと、支払いを拒まれた場合や、商品の受け取り拒否をされた場合に、法的手続き等でこちらの主張を認めてもらうことが難しくなります。更に、海外での取引では、文化・商慣習・社会通念等の違いにより、取引の基本的認識にズレが生じることもあります。誤解によるトラブルを未然に防止するためにも、主要な取引については、契約書を作成しましょう。契約書を作成しない取引においても、顧客と合意した内容を書面で残しておくようにしましょう。 • 契約書については、可能な限り国際取引契約に精通している弁護士に相談しながら手続きを進めましょう。なお、売買契約書において留意すべき主なポイントは以下の通りです。 • 契約品・金額 :契約する製品の名称、数量、スペック、金額等を詳細に定め、当事者間で齟齬がないようにしましょう。 • 支払方法 :自社にとってリスクの小さい支払方法・支払期限を交渉し、定めておきましょう(後述「リスクの小さい支払方法を選択しよう」参照)。 • 保証 :製品に不具合があった場合に備え、保証期間、クレームの請求要件、免責事項等について定めておきましょう。 • 知的財産 :各種知的財産権の帰属について、相手国の法律も踏まえ定めておきましょう。 • 紛争解決手段 :万が一紛争に発展した場合に備え、紛争解決手段(裁判・仲裁等)、適用される法律、紛争解決地・機関を定めておきましょう。 • 契約解除 :相手側の不履行や倒産等があった場合に契約解除ができるように定めておきましょう。

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