中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 46 - 6 製品・サービスの品質不良 海外拠点で製造する製品および現地調達部品の品質不良などのリスクです。 ■想定事例 現地で部品を調達していたが、取引先が指定した仕様を無視し、コスト削減のために使用する原材料を変更していた。自社での製品検査も不十分であったため、原材料変更による強度の低下を把握できないまま、製品を出荷した。販売後、強度不足による事故が頻発し、大規模な製品回収を実施することとなった。 海外拠点での製品製造においては、自社の品質管理や、調達した部品の品質不良に起因する問題が頻繁に発生しており、海外拠点・現地サプライヤーにおける品質レベル・製品の安全性の確保が不可欠です。以下のような対策を講じておきましょう。 計画段階・手続段階 ■合弁先・提携先・サプライヤーを調査しよう • 海外と日本では品質に対する意識が大きく異なる場合があります。合弁先・提携先・サプライヤーなど、製品の製造に関わるパートナーに対しては、契約を結ぶ前に品質に対する考え方や品質基準を遵守する能力の有無を確認しておくことが重要です。また相手企業が過去に品質不良等の問題を起こしていないかについても、あわせて確認しておきましょう。 操業段階 ■製品安全基準・品質基準を設けよう • 当該製品の特性・現地の法制度や規格等の内容を踏まえ、当該製品の安全性に関する基準(製品安全基準)や品質を担保するために必要な要素に関する基準(品質基準)を設け、これらの基準を遵守するよう徹底しましょう。 ■生産管理を徹底しよう • 製品安全基準・品質基準を満たし、設計図面・仕様書どおりの製品を生産するために、生産ラインの設計、生産計画の立案、生産設備・機器等の整備、作業手順書の作成、作業者の教育・訓練を実施し、適切に生産管理をしましょう。 ■製品の検査をしよう • 製品安全基準・品質基準を満たし、設計図面・仕様書どおりの製品が生産されていることを検査により確認しましょう。不適合品があれば、速やかに排除し、不適合品の流出・拡大を防止する必要があります。 ■従業員を教育しよう • 製品安全基準・品質基準の遵守や、生産管理に関するルールについて、従業員に対し教育を行いましょう。一つの製品不具合が、事業運営に大きく影響する可能性もあります。現地の従業員への教育に際しては、単にルールを周知するだけではなく、品質・製品安全確保の重要性から製品不具合発生時の影響等まで、粘り強く周知していくことが重要です。 • 日本では当たり前となっている5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)等の活動についても、海外では知られていません。標語化や掲示等の方法で従業員に周知徹底しましょう。 • 海外拠点の生産ラインにおいては、現地の従業員が適切にルールを守って作業をしているかをきちんと監視・監督することが、不良品の発生防止に有効です。工場の監督者の教育・育成にも注力しましょう。

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