中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
44/114

- 44 - 5 施設・設備に関する事故・故障 設備の火災・爆発や、メンテナンス不良による設備の故障などのリスクです。 ■想定事例 進出先の工場に、日本から持ち込んだ製造設備を使用し、日本国内のメンテナンスマニュアルを使って、管理を行っていた。現地の高温多湿な気候を十分に考慮しておらず、また従業員の教育不足から定期点検がしっかり行われていなかったため、設備が故障し、長期間操業不能となった。 施設・設備に関するトラブルが発生した場合、事業が中断し、販売先への納期遅延等が発生するだけでなく、従業員の負傷に対する補償、施設・設備の修理費等の思わぬ出費も想定されます。以下のような対策を講じておきましょう。 計画段階・手続段階 ■関連法規制を調査しよう • 施設・設備の建設・設置・運営等に関する現地の法規制について、正確に把握しましょう。違反とみなされる場合には、当局から罰金等を科される可能性もあるため、注意が必要です。 ■施設の安全性を確認しよう • 海外では、建築や消防に関する安全基準などが日本ほど整備されていない国が多く、施設の安全性が十分でない場合があります。拠点を設置する際には、以下のような観点から安全性を確認しましょう。 • 建物(壁、屋根、柱)の防耐火性能 • スプリンクラー、消火栓、自動火災報知設備、防火壁、防火扉等、消防火設備の設置状況と能力 • 最寄りの公設消防署からの距離および消火能力と構内の消防水源 • 類焼危険(隣接物件の用途、建物間距離) • 取り扱う危険物(特に引火性危険物)、毒物、可燃性ガスの特性 • ユーティリティ設備(電気設備、ボイラー等)の劣化状況 • 不審者侵入による放火への対策(フェンス、監視カメラ、赤外線センサー 等) 等 ■現地環境に対応した設備を取得・導入しよう • 海外では、日本とは異なる温湿度等の環境により、日本より早期に設備が劣化することも想定されます。事故や故障を防止する観点では、まず建物・設備を取得・導入する際に、現地の気温や湿度などの環境を考慮した仕様としましょう。 ■メンテナンス・修理対応に関する調査をしよう • 施設・設備の日常的なメンテナンスや、故障した際の修理を自社で実施しない場合は、進出先において施設・設備メーカーがメンテナンス・修理対応を実施しているかどうかを確認しましょう。また、修理については、依頼から対応までに要する期間もあわせて確認しておくことが重要です。 手続段階 ■点検・試運転をしよう • 中古品の設備類を活用する場合、故障が頻繁に発生し、稼働率に影響することも考えられるため、事前に十分な点検や試運転を行うことが重要です。

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る