中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 40 - Column#1(小里機材株式会社) 工場の冠水被害を乗り越え、事業の安定的な継続を図る! 同社は、昭和23年に創業し、工業用ゴム製品の開発・製造を手掛けている。平成元年マレーシアに、平成6年上海に現地法人を設立し、現在海外2現地法人の生産体制で操業している。 同社によれば、上海における電力供給は、進出当初に比べ安定しており、大きな問題は無くなりつつあるという。一方で、大規模な自然災害に備えたインフラの整備は、日本国内に比べると十分進んでいるとは言い難いようだ。実際、同社では平成25年に、大雨のため排水が間に合わず、冠水により操業が1日半程度ストップする事態が発生した。また、平成27年には江蘇省南京市において集中豪雨による都市型洪水が発生し、市内で大規模な被害も発生している。 同社では、冠水の被害を経験して以来、土嚢を確保するなどの対策を講じているが、現状の立地では多額の費用が掛かるため、それ以上の再発防止策は非常に難しい。工場設立の際には、周囲の川の位置関係や過去の水害の発生状況などを確認し、出来るだけ地面の高い場所に工場を建設するなど、事前にインフラの整備状況も含めたリスク評価と対応を行っておくことが重要という。 Column#2(大森機械工業株式会社) 入念な調査が海外進出成功のポイント! 同社は、昭和23年3月に創業し、包装機械を専門に開発・製造している。平成6年、北京の現地法人の設立を皮切りに、イギリス、アメリカ、カナダ、インド、タイ、オランダなど、全世界20拠点のグローバルネットワークを築いている。 同社が平成25年にインドに進出した際、3回に亘って現地に人を派遣し、市場調査とパートナー探しを行った。過去に中国で国営企業との合弁会社を立ち上げた実績もあったため、当初は、財閥系企業を中心にパートナーを探していたが、海外進出に際して起用したアドバイザーから、買収を希望している現地企業を紹介され交渉を開始した。 交渉当初、現地企業は、株式を全て買い取ってほしいと希望していた。しかし、入念な事前調査の結果、未経験のインド市場において単独で事業を行うことは、買収後に現地従業員が大量にやめてしまう等のリスクが高いと考えた同社は、初めてのインド進出であることを理解してもらうべく、アドバイザーとともに交渉を重ねた。その結果、2年後に全ての株式を買い取ることを条件に、合弁会社からスタートすることに成功した。相当な手間とコストをかけて入念な事前調査を行ったことが、成功のポイントであったと同社は振り返る。 さらに、同社では買収後の現地従業員との一体感の醸成にも工夫を凝らしている。経営トップ同士の交流だけでなく、日本本社従業員、現地従業員でプロジェクトチームを組成し、共通の課題に取組むことによりコミュニケーションを活発化させている。同社では、今後さらにグローバル化を進めるという会社方針を打ち出しているが、通常業務においても英語によるコミュニケーションが担当者レベルで行われるなど、海外事業拡大の地盤固めによい影響が出ているという。

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