中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 38 - 3 資金調達上の障害 為替管理制度の変更や為替変動に伴う損失、親子ローン取り扱い規制に関するトラブルなどです。 ■想定事例 現地法人の事業拡大に伴い運転資金の借入れが必要となったが、日本本社からの借入れが事実上制限され、金融機関からの借入れも容易ではないことが判明した。必要な資金の調達が困難となり、事業計画の変更を余儀なくされた。 海外拠点における資金調達は、日本国内での調達と異なり、為替リスクや現地の法令・規制についても勘案する必要があります。また、日本に比べて手続きに時間を要することで、事業計画に大きな影響をおよぼすことになりかねません。以下のような対策を講じておきましょう。 計画段階・手続段階 ■各資金調達方法に関する課題を認識しよう • 海外における資金調達は、日本における資金調達とは異なる課題があります。たとえば、融資の際に担保の提供を求められることがあるため、進出して間もない企業や非製造業の場合は担保として提供できる資産が少なく、融資を受けにくいことになります。また、現地金融機関からの融資を受ける際に、日本本社や金融機関からの信用保証を求められることもあります。進出先にどのような課題があるかを事前に調べましょう。 • 日本国内であれば取引関係のある金融機関との信頼関係がありますが、海外では、事業を開始するにあたり、新たに現地金融機関との取引関係を築く必要もあります。 ■進出先における資金調達方法を調査・選択しよう • 海外拠点において資金調達を実施するうえでは、進出先における資金調達方法とそのメリット・デメリットを調査し、適切な方法を選択しましょう。 • 増資 日本本社からの増資により資金調達を行う方法。外債ではないため比較的規制を受けず、資金調達がしやすい、現地法人がローン金利を負担しない等のメリットがある一方で、手続きに時間がかかる、日本本社が投資した資金は原則配当による回収となるため業績が悪く配当できない場合は回収できない(減資手続きにより日本本社に返金する方法もあるが、手続きに時間とコストを要するため一般的ではない)などのデメリットがある。 • 親子ローン 現地法人が日本本社から直接融資を受ける方法。現地の貸出規制を受けにくく、増資と比べると日本本社が資金を回収しやすいなどのメリットがある。一方で、外貨建てで借入れをした場合、為替リスクの影響を受けやすい。また、各国ごとに借入額や借入れの通貨、源泉税の取扱い、登記の必要性等に関するさまざまなルールがあるため、事前に十分調査する必要がある。 • 日本国内の銀行からの借入れ 日本に所在する銀行から、現地法人が融資を受ける方法。外債扱いとなることから、親子ローンと同様に各種規制に留意する必要がある。

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