中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 36 - 2 現地パートナー・提携先とのトラブル 不利益な契約締結、合弁先との見解の相違や、取引先の不適切な対応による納期遅延などのリスクです。 ■想定事例 事業開始を急ぐあまり、現地の合弁パートナーとの間で、細部まで条件を詰め切れないまま契約を締結した。後に経営方針を巡りトラブルとなったが、契約において紛争解決方法を定めていなかったため、現地裁判所に訴訟を提起され、自社の主張が十分に反映されない条件で和解することとなった。 海外事業においては、言語や商慣習等に違いがあることから、現地パートナー・提携先との間においてトラブルが発生しやすくなります。特に、契約内容に関する見解の相違は、重大なトラブルに発展しがちです。以下のような対策を講じておきましょう(合弁契約を想定した対策を紹介します)。 計画段階 ■合弁先(候補)を調査しよう • 合弁会社を立ち上げるにあたっては、まずは信頼できるパートナーを見つけることが第一です。合弁先の選定に際しては、候補企業との面談や、候補企業の取引先へのヒアリング、インターネット上の公開情報等により、以下の事項を可能な限り確認し、候補企業が信頼できるパートナーかどうかを判断しましょう。必要に応じて第三者に信用調査を依頼することも重要です。 <確認すべき事項(例)> • 候補企業の経営方針、組織風土、評判 • 候補企業の経営者の人柄、評判 • 合弁事業・提携事業等に対する考え方、目的 • 経営管理能力や資金力 等 ■交渉体制は早期に確立しよう • 合弁先が決まったら、立ち上げに向け当該企業との間で事業運営上の諸条件について交渉を行います。交渉をスムーズに行うため、進出先に精通した弁護士や会計士等の専門家を含む交渉体制を早期に立ち上げましょう。 • 一般的に海外企業の意思決定は、日本企業に比べて迅速になされる傾向にあります。相手方のペースに押され、交渉上不利とならないように、交渉体制を早期に立ち上げ、余裕をもったスケジュールで進めましょう。 手続段階 ■合弁先との交渉でははっきりと主張しよう • 交渉の進め方はそれぞれの国の商慣習によって異なります。日本企業の場合は、交渉相手に配慮し、条件をはっきり伝えなかったり、遠回しな表現をすることがありますが、海外企業との交渉においてはその配慮が裏目にでることがあります。交渉決裂を恐れ、条件を曖昧なままにすることや不必要に譲歩することはトラブルのもとです。特に重要な論点となるのは以下の項目です。自社の条件を明確にし、はっきりと主張しましょう。

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