中小企業のための海外リスクマネジメントマニュアル詳細版
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- 34 - 1 インフラの未整備 公共交通機関・飛行機・船舶の不通・遅延、電気・水道・通信網の途絶などのリスクです。 ■想定事例 工業団地に入居し、操業開始したところ、電力供給に問題が無いとの説明を受けていたにも関わらず、実際には電力供給が安定せず、しばしば瞬停(瞬時電圧低下)や停電が発生した。このため、製造中の商品が不具合品となり、破棄処分せざるを得ず、また、製造設備の傷みも早く、耐用年数も経過しないうちに設備を更新することとなった。 物流・電力・ガス・水道・通信などのインフラは、事業運営に欠かせないものですが、その安定性は進出先の政府や自治体、インフラ関連企業の取組みに左右されます。そのため、あらかじめ進出先のインフラ状況に応じて、以下のような対策を講じておきましょう。 計画段階 ■インフラ状況を調査しよう • 海外のインフラ状況は進出する国・地域により異なり、工業団地であっても停電が発生したり、交通機関の遅延が頻発し物流網が乱れるなど、さまざまな問題が生じます。以下の観点から、詳細な事前調査を行いましょう。 <事前調査の観点(例)> • 電力の供給状況 • ガス・水道等の供給状況 • 交通網(道路・鉄道・航空等)の整備状況 • 輸送経路・物流網の整備状況 • 通信インフラの安定性 等 ■事前調査結果を踏まえ事業計画を検討しよう • 事前調査の結果、インフラの状況に不安がある場合、その影響を考慮したうえで、事業計画を検討しましょう。事業継続に支障が出るなど影響が大きい場合は、進出先の再検討が必要となることもあります。 • 電力の供給が不安定な国であっても、整備された工業団地に入居することで電力不足の影響が小さくなる可能性もあります。工業団地によっては、団地内に発電所を設け、安定した電力供給を可能にするなどの取組みを行っています。電力だけではなく、水道や通信などの各種インフラについても、他の地域に比べて整備されているケースがあります。一方で、上記想定事例のようなケースもあるため、工業団地内のインフラ整備状況については、事前に十分調査を行う必要があります。また資金的に余裕のある場合には、自家発電設備の設置など、自社で備えを強化することも検討しましょう。 • 輸送手段について支障がある場合、材料、部品の調達から、製品の搬送まで多くの局面で影響を与える可能性があります。代替の輸送手段があるか、また確保できるか事前調査をしたうえで、事業計画を検討しましょう。 操業段階 ■情報収集のためのネットワークを構築しよう • インフラが停止・途絶するような事故情報をいち早く把握し、復旧見込についても正確に把握できるようにしましょう。日頃から現地の災害情報を収集するほか、パートナー、取引先、他の日系企業等から情報収集できるネットワークを構築しておきましょう。

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