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株式会社エイム(宇部臨空頭脳パーク)

人材育成が地域を育て、企業を育てていく

 パッケージソフトウェアやシステムインテグレーション開発など、分野にとらわれず幅広く手がける株式会社エイム(以下、(株)エイム)は、2002年山口県宇部市に創業、この10年で地域でも有数のソフトハウスに成長した企業である。高いシステムエンジニアリング能力に加え、新しい仕事に積極的にチャレンジしていく姿勢が高く評価されている。宇部臨空頭脳パークに新社屋を移転した現在、自治体や大手メーカーから地域の商店まで、幅広い顧客を抱え、さらなる発展を続けている。

大手メーカー並みの人材を育てる

 (株)エイムのような独立系ソフトハウスの業務は、パッケージ開発のほか、一般的には中小企業を顧客とする個別システム開発と、自治体や大手企業へ派遣されてのシステム開発・管理を行う業務などがその主たる業務内容となる。営業面で重視されるのは、コスト面やセキュリティ管理もさることながら、企業が抱えているシステムエンジニア(以下、SE)の技術力や対応力、提案力などのスキルは重要なポイントだ。
 創業者である(株)エイム藤井政夫代表取締役社長は、創業以前は大手メーカーに勤務しソフトハウスを使う側の人間であった。ソフトハウスに仕事を依頼し、ともにプロジェクトに臨んでいた経験が、自らソフトハウスを立ち上げるきっかけになったと話す。
「当時、仕事をしていて強く感じていたのが、下請けのソフトハウスとSEの質についてでした。特に人材という点で一流メーカーのSEならば、技術的なことだけではなく、顧客対応や提案する能力が備わっている。たとえ下請けであっても、現代のビジネスで求められるスキルを持ち合わせた人材であるべきとの想いが強くありました。それならば、SEが働く理想のソフトハウスを、自分で作ってみたい。それが創業のきっかけとなりました」
 また、そんな企業を地元山口に作りたいという想いもあった。当時、ソフトハウスは都市部に集中し、地方には比較的数が少なかった。そのため、財源や雇用も都市部に偏ってしまう。「そんな状況を変え、地域の発展のために少しでも何か手助けになるようなことをやりたかった」と、藤井氏は語る。
創業時の社員は、藤井恵子取締役の他に2名。夫婦二人三脚で立ち上げた小さな有限会社からのスタートだったが、順調に仕事の規模を拡大させ売上を伸ばしていった。

(左)藤井恵子取締役と藤井政夫代表取締役社長。/(右)新社屋の外観。
(左)藤井恵子取締役と藤井政夫代表取締役社長。/(右)新社屋の外観。

セキュリティ管理の経営的な重要性

 経営規模の拡大に伴って、企業の課題となるのが人材の確保である。特にSEのように特殊技術が求められ、情報処理技術の資格取得者数などが業務受託の数に直結する業界の場合、人材確保とその待遇および育成体制は非常に重要になる。そのため、創業のきっかけとなった「一流メーカー並の人材育成」の達成は、経営面においても非常に有効なビジネス戦略となる。
「メーカー側から要求される人材像を伝え、それに準じるためにどうすれば良いかを考え、実践し、発展させてきたからこそ、10年でここまでの規模の会社に出来たのだろうと思います。資本力は大手メーカーほどありませんので、設備面などでは不足もあるかもしれませんが、社員は資格獲得などにも積極的に取り組んでくれています」と藤井氏は語る。
 2012年、宇部臨空頭脳パークに新設された新社屋は、雇用や人材育成の確保のためにも必要であった。「自分の会社はここだと胸を張って言えること、ここで仕事をしてみたいと思える環境にあることは、人材確保において非常に重要なこと」と藤井氏は語る。
 また、新社屋は当社のセキュリティ面の強化にも大きく寄与している。当社はISMS認定を受ける企業であるが、移転前には課題もあった。
「入室制限において、社外のお客様がどこまで入れるかというところに少し問題があったのです。新社屋ではそれを改善できました。社員に一流メーカー並を求めるからには、経営側としてもその姿勢で臨むのが筋ですし、こういった職場環境に身を置くことで、セキュリティに関してより高い意識を持った人材が育成できると考えています」と藤井氏は語る。
 また、セキュリティ強化によって、これまで派遣でこなしていた業務を社内で行えるようにするという狙いもある。社外での仕事では、どうしても携わる人員に一定以上の技術と経験が求められる。人材育成という観点から考えれば、仕事を教える機会が限られる社外での業務よりも、社内業務の方がメリットが多い。そのためにもセキュリティ環境の改善は大きな意味があった。

(左)新社屋の内観。/(右)会議室には最新式タッチディスプレイも備える。
(左)新社屋の内観。/(右)会議室には最新式タッチディスプレイも備える。

ソフトハウスにおける地域貢献

 新社屋移転は以前から考慮されていたが、ネットワークやセキュリティ面の環境が整った手頃な物件は、なかなか見つからなかった。市内の建物付きの土地を購入することも検討されたが、中古ビルの設備を整えることにコストをかけるより、多少コストはかかっても会社のステータス向上や新卒などの人材確保、職場環境の向上を考えれば新築社屋の建設の方によりメリットを感じていた。
 社屋を建てるにあたり、環境が整った宇部臨空頭脳パークは非常に魅力的であり、当初から検討されていたが、分譲区画が希望条件より広く、投資効率を考えると移転先の候補からは外れていたと藤井氏は話す。
「空港からとにかく近く、新山口駅や市内へのアクセスも素晴らしい。また、団地内も整備されていて、とても静かで過ごしやすい。とにかく環境が気に入っていました。だから、あの半分のスペースならば、と当時は思っていました。」
 そんな折に、区画の分割が可能となり、即移転を決定した。
「それでも前の事務所の4倍の広さで、照明はLEDに、サーバーも新規備え付けとなると、私たちにとっては大きな投資でした。ただ、省エネ設計になったことで、電気代は以前とほぼ変わらないですし、セキュリティ面では、防犯カメラ、センサーライトを要所に備え、万全の体制を敷けたのは大きな進展です」と藤井氏は語る。
 新社屋に移り、今後はさらなる人材育成と地域への貢献に努めていきつつ、新たな業務にもチャレンジしていきたいと、藤井氏はその展望を語る。
「現在、売上の割合は自治体が6割で民需は4割ほど。分野では、金融システムから制御システム、大手メーカーのパッケージ開発など、様々な業務を行っていますが、今後もできることには挑戦していきたい。ある意味では特定分野に特化していることが強みになる業界でもあることから、手を広げすぎると問題かなとも考えましたが、私としては何でもできるソフトハウスにしたいという想いがあります」具体的には、福祉関係や携帯電話分野での展開を準備中だ。
 この新しい仕事に挑戦していく姿勢は、社員育成とも密接につながっている。経営的には、既存分野で事業の柱をいくつか定め、コストダウンにつなげていくのがセオリーかもしれないが、新たな可能性を閉ざすリスクのほうが大きいと藤井氏は考えている。
「若い社員も増えていますし、可能性はどんどん拡げていきたい。それに、管理職クラスも新しいパソコンやタブレットが出たら触ってみたいミーハーな世代ですので、それに関わる仕事はモチベーションになる。新しいモノ好きな事は、当社の強い個性になっていると思いますし、社員の希望があればどんどん取り組んでいきたいです」と、藤井氏は語る。
「優秀な人材を育てるのは企業としての責務」として考える(株)エイムの取り組みは、現在では社内のみならず、地域活動にまで広がっている。一般財団法人山口県情報産業協会の会長を務める藤井氏は、地元学校からのインターンシップ受け入れや、山口大学との産学連携による学生・社会人向けの講座開設など、地域の人材育成に向けて積極的に取り組んでいる。創業より10年、人材育成に励んできた(株)エイムは、企業としても地域に根付いた存在として着実に育っている。(2012年12月取材)

(左)エンジニア用オフィス。/(右)サーバー室。
(左)エンジニア用オフィス。/(右)サーバー室。

▼団地の詳細情報
宇部臨空頭脳パーク

 

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