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加美電機株式会社(長田野工業団地アネックス京都三和)

新工場の開設が、自社製品メーカーへの契機となる

 1983年に兵庫県加美町豊部に創業され、プリント基板の実装・組立と照明などのLED機器を製造する加美電機株式会社(以降、加美電機(株))。創業から2年後の1985年に現在本社がある熊野部農工団地に移転すると、時代に先駆けて自動実装機を導入するなど、製造業の時代の先を見据えた先進的な取り組みを行ってきた。現在は、自社製品の開発に力を注いでおり、停電しても消えないLED電球『レス球』は、国内外で注目を集めている。

受注中心から自社製品製造への移行に向けた取り組み

 現在、加美電機(株)の主要業務はプリント基板の受注製造で、その九割を占める。その内訳は、産業機器の制御基板が多く、その他にタッチパネルや車関係の基板などの製造を手がけている。そして、残り一割が新事業として今後拡大する方針の自社製品・LED機器の製造だ。
 受注製造から自社製品製造への移行は、中小規模の製造業にとってビジネス転換に向けた重要なテーマである。取締役総務部長の菓子俊之氏は、自社ブランド育成の大切さを次のように語る。
「現在、製造業の営業はとても難しい状態です。飛び込みで営業をしても、簡単に仕事はとれません。そこで重要になるのが信頼です。お客様のご要望にお応えするため、できないと言わず、品質は万全でお届けする。真面目に、誠実にお客様の要望に応える。これを繰り返すことで、当社の仕事を認めていただき、徐々に取引先を増やしてきました。ただ、今後売上を拡大していくためには、受注だけに頼っていては厳しい状況です。自社製品の開発にも力を入れていく必要があると考えています。」
 2007年に、京都中核工業団地に開設された京都工場は、新商品の開発・製造拠点としての役割を担う。これは、加美電機(株)にとっては大きなチャレンジであった。そして、その成果の第一号となったのが、充電池が内蔵されたLED電球『レス球』である。阪神淡路大震災の経験が開発のきっかけとなった。開発は京都工場開設の以前より行われていたが、2009年に製品化が実現、発売が開始された。
「販売当初、電球にしては高価格で、月に10個も売れれば良い方でした。しかし、東日本大震災が起こり、それに伴う計画停電によって『レス球』の評判は瞬く間に広まり、在庫はあっという間に完売しました」と、菓子氏は当時を振り返る。以降、『レス球』は売上を伸ばしているが、価格低減やさらなる顧客ニーズへのフィット、性能向上に向けた開発を進めている。

(左)菓子俊之取締役総務部長。/(右)工場の外観。
(左)菓子俊之取締役総務部長。/(右)工場の外観。

京都工場が担う役割と、求められる条件

 京都工場の開設は、新製品開発拠点というビジネス戦略的な位置づけのほかに、実務的に必要に迫られた部分もある。事業拡大に伴い、本社が手狭になり、新たな工場立地に向けた検討が行われた。当時の進出条件を菓子氏は次のように話す。
「条件としては、本社から一時間圏内ということで、2005年に本格的に探し始めました。決定要因としては、旧三和町などの自治体や関係省庁の熱心な誘致活動と、助成金などの支援策の充実がポイントとなりました。また、本社周辺は民家もあり、配慮しなければいけないことも多いのですが、こちらは環境面でもかなり条件が良かったのが大きなポイントでした。」
 進出の結果、開設以前と比べ売上は10%以上も伸び、京都の企業交流会への参加など、新たなネットワークの構築にも繋がっている。また、2010年には以前からインターンシップを受け入れていた舞鶴高等専門学校と共同で、LED商品のデザインを行うなど、産学連携・地域の人材育成にも携わるっている。京都工場は、加美電機(株)が新たな一歩を踏み出すことに大きく寄与している。

(左)ハンダ付け作業の様子。/(右)基板製造に使われる自動実装機。
(左)ハンダ付け作業の様子。/(右)基板製造に使われる自動実装機。

LED機器メーカーとして、海外進出へ

 京都工場進出と自社ブランド第一号の誕生は、加美電機(株)にとって大きな契機となった。今後もLED製品の自社ブランド開発に力を注いでいく姿勢は変わらない。
「現在は、シーリングライトなど『レス球』以外の照明製品の製造も行っていますが、当社の認識では『レス球』は電球というよりも、電子機器という位置づけでとらえています。ですので、今後は電球にこだわらず、LEDと電子基板の融合という自社の技術とノウハウをさらに発展させた製品に取り組んでいきたい。ゆくゆくは、京都工場をLED製品の生産工場にしたいという想いがあります。」と菓子氏は語る。
 目標は売上の三割を自社製品にすること。そのための、新たな展開として現在、バングラデシュに工場を建造中である。2013年には、現地で稼働の予定だ。
「バングラデシュの大臣から、当社の『レス球』に非常に興味を持って頂いたのです。バングラデシュは停電が1日に5、6回もありますので、蓄電できるLED電球が注目されたわけです」と菓子氏は語る。
 この新たな事業が成功し、バングラデシュで製造を行うようになれば、人件費のコスト削減も可能になり、『レス球』の販売価格はかなり下げられると見込んでいる。加美電機(株)は、製造業者から自社ブランドを持つメーカーへと着実に進化を遂げている。(2012年10月取材)

(左)検査工程の様子。/(右)工場内の様子。
(左)検査工程の様子。/(右)工場内の様子。

▼団地の詳細情報
京都北部中核工業団地(長田野工業団地アネックス京都三和)

 

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