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伊勢久株式会社(津オフィス・アルカディア)

日本の最先端研究を支える創業254年のノウハウと、その営業戦略

 1758年に薬舗として創業され、医療用の検査薬や工業用の化成品、機能性セラミックスなど最先端技術に深く関わる化学薬品や機材などを取り扱う伊勢久株式会社(以降、伊勢久(株))。創業254年の歴史と顧客の要求に的確に応える提案力が高く評価され、最先端技術の開発に携わる研究施設や企業、病院など、多くの取引先を抱える企業である。本社のある名古屋を中心に、東海・関東各地に営業所を構え、日本の最先端技術を支える一方で、国外においても工業用化学薬品、試験研究用の試薬を提供するなどグローバルな事業を展開している。

最先端分野における、提案型営業の必要性と難しさ

 薬舗として創業された伊勢久(株)だが、現在、その取引の多くは実験用に使われる試験薬品と、品質管理のために製造業などの現場で使われる化成品である。また、古くから陶磁器に使われる窯業原材料などを取り扱っていたことから、リチウム電池などで使われるセラミックス分野での事業も執り行い、メディカル・ケミカル・セラミックスの三つが大きな事業の柱となっている。伊勢久(株)代表取締役社長の高木裕明氏は、これらの違う分野の製品を取り扱っていることが、大きな強みになっていると話す。
「当社のお客様である研究機関や企業では普通では思いもつかない研究を行なっています。たとえば、自動車関連企業がバイオの研究をされているなど。時代のニーズもありますが、企業の方もかけ離れたものをつなげるイノベーションを探求しています。そんなときこそ、試薬から工業用の化成品など幅広い薬品とセラミックス原材料を扱う、当社のような企業が提案できることがあると思います」
 日本の薬品取り扱いは、世界的に見て非常に厳しい管理基準が設けられているが、それでも国内に数十社の企業がある。その厳しい条件をクリアできる企業がライバルにいる中で、自社の強みを生かし、顧客に提案していくことが何よりも重要となっている。
「当社の長い歴史と実績はお客様からの信用や信頼を得ていますが、一番求められているのは提案力だと考えています。時代の最先端を行くお客様の要求に応えられるものを、こちらから提案していく。これは、簡単ではありませんが、お客様と一緒に解決していく姿勢が現場には求められます」と高木氏は語る。各地の営業所は、バイオ系、医療系研究機関、製造業が多いエリアなど、それぞれに特色がある。そのため、定期的な人事異動や情報交換を行うことによって、現場に幅広い提案力が備わるよう取り組んでいる。

(左)高木裕明代表取締役社長。/(右)津営業所の外観。
(左)高木裕明代表取締役社長。/(右)津営業所の外観。

営業力向上のために必要な営業拠点の条件

 2012年に津オフィス・アルカディアに新設された営業所は、伊勢久(株)における南西エリアの重要営業拠点である。「営業所の移転は、営業力強化に欠かせなかった」と高木氏は語る。
「以前の営業所は、近くに産廃業者があり非常に埃っぽく、周辺の雑草などの手入れがされてないことで害虫が発生するなど環境が良いとは言えませんでした。社員が使う駐車スペースなどにも問題があったことや、薬品管理の観点からも良い立地とは言えず、お客様に対しての責任という意味でも対策が必要だと考えていました。」
 2010年頃から検討が始められた新たな営業所の場所探しは、当初、地元の不動産業者を通じて行われた。薬品取り扱いに際して様々な規制があるため、受け入れ態勢の整った工業団地を中心に検討が進められたが、最適地は見つからなかった。
「そんなときに中小機構さんを知ったのです。豊富な情報量と担当者の親身な対応に大変驚きました。民間の不動産業者とは違い、利益優先でない姿勢も好印象でしたし、津オフィス・アルカディアも、初めての視察から一発で気に入りました」と高木氏は語る。
 以前の営業所からの転勤などが必要ない圏内であり、搬入搬出作業が余裕を持って行えるスペースや高速道路へのアクセスなど、今までに無い素晴らしい環境があった。また、薬品を扱う上でのインフラや耐震性などの問題もクリアできるなど多くのメリットがあり、すぐに移転地として決定した。
「工場系とオフィス系でエリアが分かれているのもよかった。従業員が1日の8時間以上過ごす場所ですし、移転後は従業員のモチベーションも上がりました。また、お客様も立ち寄りやすい環境になり、以前よりも足を運んでいただけるようになっています」と高木氏が語るように、移転によって営業所が果たすべき機能は確実に向上している。

(左)営業所内の様子。/(右)医薬用外劇物の保管庫。
(左)営業所内の様子。/(右)医薬用外劇物の保管庫。

営業支援のための事業拡大

 伊勢久(株)は、顧客第一の提案型営業スタイルを一貫して行ってきている。産業廃棄物処理とその運搬も、顧客ニーズを考えた上で開始された事業である。近年、環境への配慮は企業の社会的責任として強く求められることだが、同社のライセンス獲得は2002年とかなり早い。納品した薬品を、責任を持って処理することは、顧客に対しての責務だという考えがあったからである。
「試薬の納入から最終的な廃棄処理までトータルで行うことは、手間も費用もかかり率先して行いたい事業ではありません。しかし、お客様が委託した廃棄物業者が万が一きちんと処理しなかった場合、それは委託したお客様も責任を問われることになります。実際にそのような例を目の当たりにし、それならば納入する当社が責任を持って処理するのがお客様の為になるだろうということからこの事業を始めました。ただ、事業と言ってもビジネスというよりはアフターサービスの領域です」と高木氏は語る。このような廃棄物処理まで行う同業者は多くないため、お客様からは重宝がられており、営業面では大きく寄与している。
 そして、現在取り組みを強めているのは粉体関連事業だ。セラミックスにおける粉体の取り扱いには長い歴史と経験があり、それを今後はメディカルやケミカルの分野で活用するべく取り組んでいる。
「当社では、これまで粉体というとセラミックスだと考えていました。ただ、医薬品における錠剤なども、元は粉体を固めて作られているものです。今後、粉体に関してのこのノウハウが、他分野でも生かせるのではないかと考え、お客様に提案させていただいています」と高木氏は語る。
粉体の分析から微量供給、搬送システム、焼成する窯など提供できる体制が整っていることは、同業者にはない強みである。また、粉体分野で獲得した新規顧客を既存の事業の顧客につなげていくこともできることから、今後、粉体関連は重要なプロジェクトになっていく。(2012年10月取材)

(左)商品倉庫。/(右)プレハブ冷蔵庫。
(左)商品倉庫。/(右)プレハブ冷蔵庫。

▼団地の詳細情報
津オフィス・アルカディア

 

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