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旭化学工業株式会社(甲南フロンティアパーク)

企業が発展する上での、拠点づくりの重要性

 1984年に大阪で創業された旭化学工業株式会社(以降、旭化学工業(株))は、電子機器に使われるフィルム・コーティングやラミネートを手がけるモノづくり企業だ。創業当初は創業者家族3人で経営する小さな企業だったが、以降徐々に規模を拡大し、現在は30名の社員を抱えるまでに成長した。積み重ねた実績と信頼によって、国内大手や韓国、台湾などアジアの大手電子メーカーからの受注製品を数多く手がけている。

技術力と効率化がもたらした、顧客ニーズに応える工場

 世界規模でモノづくりの拠点がアジアに移っていく中、それでも世界でメイドインジャパンが求められるのは、高品質な製品と企業ブランドのイメージ戦略に直結しているからである。コストはかかっても、高品質の製品を生み出す職人たちの努力の結晶が、製品及び日本のモノづくりへの評価につながっている。そして、国内外の電子メーカーの旭化学工業(株)に対しての評価も、それと何ら変わることはない。旭化学工業(株)代表取締役社長の高畠康彦氏は、自らの会社が持つ高い技術と根気強く仕事に取り組む姿勢を次のように語る。
「モノづくりのキモは諦めないことだと考えています。たとえば、お客様から難しい商品の受注を受けた場合でも、試行錯誤を重ね諦めない事で、必ず成功に繋がり、その経験は他の製品造りにも生かされてきます。会社は大きさではなく、難しい仕事にもしっかり取り組む姿勢が第一で、それを積み重ねていくことがお客様の評価につながっていくのだと考えます。」
 このような姿勢が評価され業界内で仕事を増やしてきた経緯から、これまで新規の営業は必要がないほどだった。他社にはできない製品を生み出し、それが評判になり依頼が舞い込む。さらに、技術的に難しい依頼が増え、考察を重ねることで社内の技術を向上させる、発展のサイクルが出来上がっていったのである。

(左)高畠康彦代表取締役社長。/(右)滋賀工場の外観。
(左)高畠康彦代表取締役社長。/(右)滋賀工場の外観。

顧客ニーズに応えるための環境づくり

 このような成功のサイクルの中にありながら、顧客から求められるQCD【Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)】に応えるために、旭化学工業(株)ではさらなる努力を続けている。甲南フロンティアパークに2012年に開設された滋賀工場も、クリーンルームでの作業効率を上げるために必要とされた面が大きい。
「もちろん本社工場にもクリーンルーム設備はありますが、立地しているのが街中で、間口も狭く、荷物の出入りなどにも不自由な上、これ以上の増設も不可能。さらに、危険物(薬品)を取り扱う関係上、消防法の遵守や、新工場の必要性はかなり以前から高まっていました。」
 新工場の開設は、品質向上もさることながら、コスト削減に向けた取り組みの一貫でもある。日本製の製品はコスト面での競争で劣勢を強いられているのが現状だ。高畠氏はコスト削減に向けた努力を次のように語る。
「作業効率を上げて、生産性を向上させることが重要です。滋賀工場の開設はその一貫でもあります。たとえば、当社の作業機器には長さ40m、幅20mもの大きなものがあります。こういった機器を効率良く動かすには、ある程度余裕のあるスペースが必要になります。本社工場では手狭な部分もありましたが、滋賀工場はスペースも広いので作業効率も改善できます。また、通常この規模の工場を動かすのに100名以上の人員がかかるところを、当社では30名程度で稼働しており、これもコスト削減につながる努力だと考えております。」
 新工場の開設計画は、2010年頃から検討が初められたが、すぐに甲南フロンティアパークが最適地として選ばれた。当時、ものづくり大賞を受賞してすぐだったこともあり、各地の自治体からの誘致案内や、海外の取引先から現地での工場開設などを勧められたが、最終的には本社とのアクセスの良さが第一とされた。
「価格の安さよりも第一に利便性でした。当社の製品は、何よりその技術力とノウハウによって支えられているので、新規の開発品の加工は担当のスペシャリストの派遣が必須です。
その点、甲南フロンティアパークならば新名神高速道路甲南インターチェンジから第二京阪道路経由で、本社から僅か1時間というアクセス条件です。社員の居住費用も大阪よりも安く、住宅手当もそこまでの負担にはなりません」と高畠氏は語る。
 また、新設の工場になったことで、顧客に対してのイメージアップにもつながった。「工場見学にも招きやすい環境が整ったことは、今後の新規営業にも大きく寄与すると考えています」と高畠氏も期待している。また、いずれは24時間体制で稼働を行う上でも、工業団地への立地は大きなメリットとなった。

(左)クリーンルーム入口エアシャワー。/(右)新規導入の最新機器。
(左)クリーンルーム入口エアシャワー。/(右)新規導入の最新機器。

新規展開に向けた滋賀工場の使命

 滋賀工場の開設には、ビジネス戦略としての大きな意味もある。現在、旭化学工業(株)が取り扱う業務のおよそ7割がOEM(Original Equipment Manufacturerの略、発注社のブランドを製造すること)製品である。QCDの中でもコスト面での要求が厳しい中、OEMは顧客の求める条件に左右されるために利幅も少ない。さらに、リーマンショックが起こり、大手メーカーからの受注減という形で大きく響いた。
「OEM一本ではやはり怖い。今後は、柱となる事業が3本、5本なければいけないのです。そのためには、営業を中心に、新規事業の開拓に本気で取り組んでいかなければなりません。それに付随する生産体制や人材育成、技術力のさらなる向上が必要になります。ですから、この滋賀工場は新規事業の拠点であり人材育成の場にもなるのです」と高畠氏は語る。
 本社工場の生産ラインも滋賀工場に徐々に移行していきたいとの考えもあるが、既存の顧客とのビジネスでは4M管理(Man(人)、Material(もの)、Machine(設備)、Method(方法)の変更に伴うリスク管理のこと)における契約上の問題などもある。そのため、滋賀工場では新規の仕事を増やす方針だ。そして、それが会社や社員の利益ややりがいに結びつくものにしたいと高畠氏は考えている。
「OEMの仕事にもお客様の期待に応えるというやりがいはありますし、要求が高ければその分やる気が出る部分もある。ただ、モノづくりに携わっている人間として、エンドユーザーの声が直接聞けないのは寂しい部分でもあります。ですので、自社製品にも力を入れていきたいのです。」
 今後は、さらなるグローバル展開の為の新製品開発拠点にもなる。「自社でモノづくりを行い、それを売っていくメーカーになる」と高畠氏が語る目標を、達成させるため必要な営業、製品開発、人材、技術力。この全てを培う場所に、滋賀工場はなっていく。(2012年10月取材)

(左)カスタマイズされた検査機器。/(右)事務所の様子。
(左)カスタマイズされた検査機器。/(右)事務所の様子。

▼団地の詳細情報
甲南フロンティアパーク

 

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