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株式会社フジキン(江刺フロンティアパーク)

培った技術力が切り開く、新たなビジネスの可能性

 バルブなどの配管機材を主に取り扱い、半導体業界を中心に、航空宇宙業界、医療・食品業界、発電業界、化学プラント業界、海洋開発関連、新エネルギー関係など、国内海外を含め幅広い企業に精密機器を提供してきた株式会社フジキン(以下、(株)フジキン)。1930年に配管機材・機械工具問屋として創業。顧客の要求に充分に答えられる配管機材などが世間に無いことから、1954年に富士金属工作株式会社を大阪で設立。以降、自ら製造にも携わるようになった。問屋からメーカーへの脱皮によって業績を伸ばし、国内外に多くの拠点・工場を広げている。2005年、江刺フロンティアパークに創設された東北工場は、2007年に新館が増設されるなど、北日本エリア拠点として重要な役割を果たしている。

顧客拡大に向けた、北日本エリアへの進出

 それまで、(株)フジキンには大阪の東大阪市と柏原市に二つの生産工場、大阪南港に研究所があるなど関西圏での強い経営基盤があった一方、東日本に筑波研究工場と東北エリアに仙台営業所があるのみで、関西と比較すれば営業力も生産力も弱い部分であった。これは改善すべき明確な点で有り、東日本・北日本の顧客サービスを更にアップする為に工場機能を設置するべきとの考えが以前からあった。これに加え、新たな顧客獲得のためにも東北への進出は大きなチャンスだという結論に至った。
「国内工場のメリットは、お客様の細かなご要望に柔軟に対応できることです。当社でも規格品に関してはベトナムなど海外の工場で生産していますが、お客様が求める製品を作っていく上では全ての生産を海外でというわけにはいきません。ご要望をしっかりと受け止め、それに応えるためにはお客様の近くに製造拠点があることがとても大切だと考えています」と東北工場・工場長の田中林明氏は語る。
 東北工場では国内、主に北日本エリアの顧客向け製品を生産し、工場稼働により順調に売り上げに寄与。「工場を増設しなければ、需要の増加に応えられなかった」と田中氏は当時を振り返る。竣工時には21名だった社員も、現在では43名と倍の人数に成っており、業務請負職員を加えて総勢57名にまで増えた。また、当初は大阪からの出向社員が多かったが、現在では田中氏を含めた8名を除き、地元採用の社員になるなど、着実に地域に根付いた存在になってきているようだ。

(左)田中林明東北工場長。/(右)工場外観。
(左)田中林明東北工場長。/(右)工場外観。

未曾有の災害にも対応した、工場立地の決め手

 「江刺フロンティアパークへの進出はトントン拍子で決まりました」と田中氏。その大きな要因として、まず初期投資の負担が少なかったことが挙げられる。「当初はリース契約で立地ができたので、初期投資費用が低く抑えられました。」また、東北新幹線の水沢江刺駅駐車場、花巻空港の駐車場が無料で使えるなど運用面でもコスト負担が少なかったのは、嬉しい誤算だったという。
 東北地方、北上川流域には多くの産業用地がある中、江刺フロンティアパークの高速道路インターや東北新幹線の駅などへのアクセスの良さ、拠点のある大阪への直行便が運航するいわて花巻空港に近いことも大きなポイントとなった。これらのポイントは、後に東日本大震災による業務への影響を最小限に食い止めることになる。
「東日本大震災ではパーテーション壁がことごとく倒れるなど大きな被害を受けましたが、人的被害が全く無かった事は幸運でした。被害が大きかった本館2階は、事務所、食堂、会議室のスペースで、生産への影響はほとんどありませんでした。そのため早期復旧が可能でした」と田中氏は語る。
 しかし、地域の物流が止まり部品を運べず、ガソリンの供給ストップによって従業員の出勤もままならない時期が続くなど、影響は少なからず受けた。
「震災による製品へのクレームや補修対応が無かったので、震災需要のような事態はありませんでした。それでも、急ぎの受注は来ます。そのときに助かったのが大阪とのアクセスの良さでした。部品を大阪の工場から花巻空港まで空輸し、こちらで組み立てることで迅速に対応できたのです。震災直後は、救援物資を関西で集めて運ばせて頂きましたが、これも大阪とのアクセスが良いからできたことです。」

(左)フジキンが世界に誇る精密バルブ機器。/(右)自動溶接工程。
(左)フジキンが世界に誇る精密バルブ機器。/(右)自動溶接工程。

転換期を迎えた中、新たな戦略でチャンスを作る

 (株)フジキンのバルブ等の機器は、半導体関連での活用が大きな比重を占めている。更なる業務拡大に向けて田中氏は、現状を新たな需要に対するサービス及び製・商品の創出の時期と捉えている。
「これはチャンスでもあります。需要に応じて私たちはこれまで半導体業界に力を入れてきましたが、他の業界、たとえば化学プラントやバイオ、新エネルギー向けなどの製品に関しては伸びしろがあります。今まで半導体業界で培った超精密性、高信頼性、高耐久性の製品が別分野で活用されることで、不純物の少ない高純度の製品生産につながる。これは、お客様にも大きなメリットを享受頂くことが可能となります。」
 現在、バルブ・継手だけではなく特殊材料ガス、それも低沸点ガスを流量コントロールできる最新機器も製造。「今後はこれらを融合してシステム化による更なる信頼性向上とトータルコストダウンをご提案できます。」と田中氏は語る。
 問屋からスタートして長年、顧客ニーズに沿った製品を設計・製作することを基本方針とし、これまで超高圧用、高温用、極低温用などハイテクを中心とした他社に無い製品を世に送り出してきた(株)フジキンは、新しいカテゴリーのサービス販売創造業として今後も新産業、新分野へ挑戦し、未来につながる製品を生み出していく。(2012年9月取材)

信頼性及び耐久性の高い、高純度の製品を製造可能な工場内設備。
信頼性及び耐久性の高い、高純度の製品を製造可能な工場内設備。

▼団地の詳細情報
江刺フロンティアパーク

 

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