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山形東亜DKK株式会社(新庄中核工業団地)

地域が支える、国内外からの高い評価

 環境計測から化学分析、水処理などの様々な計測機器を製造する山形東亜DKK株式会社(以下、山形東亜DKK(株))は、東京高田馬場に本社を構える東亜ディーケーケー株式会社のグループ会社(旧電気化学計器株式会社の100%出資子会社)として、1990年に山形県新庄市で創業。公共施設から先端の工業用製品まで幅広い分野の顧客ニーズに応えている。

特注品を創りだす、確かな技術力

 創業当初は、本社が調達した部品の組立て作業が主な仕事だったが、1992年の機械加工部門の設立に伴い、購買部門が立ち上がると部品調達も自前で行うようになるなど新たなステップに上がる。1999年には調達からお客様への配送、品質保証までの一連の業務を一貫して行うようになった。その重要性を取締役業務部長の天野雅範氏は次のように語る。
「製造に関する基本的な技術は社内に持ちたいと考えています。同じ外注化するのでも自前で技術がないので協力会社にお願いせざるを得ないというのとは意味合いが全く異なります。当社規模の企業でプリント基板の作成や部品の加工・溶接まで行っているところは珍しいと思いますが、それを行える設備と人材が整っています。」できることは自分たちで行っていこうという姿勢が明確にある。
「当社では大手の他企業が行えないような、特殊性の高い製品を取り扱うことが少なくありません。計測条件の特殊性などに適応した製品、いわゆるスペシャル仕様の製品は、全体のおよそ2割から3割程度を占めています。そういったお客様のご要望にお応えするためには、内部に技術が必要になるのです。」たとえばプリント基板を外注する場合、数が確保できなければコストが高くなりすぎるため、ある程度の数量が必要になる。既製品であれば、まとめて発注することも可能だが、特注品の場合その数は確保できない。社内に技術を持つ必要性があるのは、このような側面からでもある。
 

(左)天野雅範取締役業務部長。/(右)工場外観。
(左)天野雅範取締役業務部長。/(右)工場外観。

産学連携による、山形東亜DKKブランドの立ち上げ

 顧客の細かな要望に応える技術力、アイディア力は東亜DKK(株)の強い個性であり、評価されている点でもある。それは、大手企業の計測器OEM(Original Equipment Manufacturing 供給先ブランド名で販売される受注生産)を数多く手がけていることからもわかる。たとえば、浄水場などに設置される水質用分析装置・システムは、PHSのシステムを使い水質をリアルタイムで観測できる画期的なものであり、東京都や大阪府、ソウル市など国内外の多くの自治体で導入されている。
 一方で、自社ブランド作りにも尽力している。天野氏はそれを「長年の夢でした」と語る。「現在、産学連携で共同研究を行っており、山形大学との研究で生まれたのが、当社の看板製品『USB変換器』です。これまでpH計測には専用の計測機とメーターが必要でしたが、この製品は計測機をパソコンに接続することで、パソコン画面でメーターを表示し、そのままデータの集計、デジタル記録計機能、データのロギング(バックアップ)までが行えます。研究分野のお客様からは、計測からデータ管理まで一度に行うことができるとご好評頂いております。」また、岩手大学と研究が進められているのは畜産分野で利用される計測装置。「牛の胃のpHを計る小型の計測装置です。牛の成育には、ただ単に栄養価の高い餌を食べさせれば良いのではなく、適切な栄養価と量が重要になります。その適正値を導きだすのが胃液のpHの値。牛の第1胃(ルーメン)の内部のpH値をリアルタイムで、計測できないかということで検討を進めております。」
 現在はまだ研究段階ではあるが、畜産業界での前評判はすでに相当高いようだ。「先日行われた国際的な学会で発表されたことで、岩手大学には世界中から多くの問い合わせがきているようです」と天野氏は話す。このような地域の学術機関との連携という形で、山形東亜DKK(株)が創業以来、新庄で築き上げてきた成果は自社ブランドという形で結実したのである。

(左)パソコンをpH計にするUSB変換器。/(右)開発部。
(左)パソコンをpH計にするUSB変換器。/(右)開発部。

人材と立地、新庄が持つポテンシャル

 創業の地が新庄となったのは、時代の進運であったと言えるかもしれない。創業年にあたる1992年はバブル末期、都内の地価は今とは比べられない価格であった。そこで、多くの候補地から選ばれたのが新庄だった。
「とにかく雪に驚きました。でも、通勤や物流に影響は無く、今思えば軽いカルチャーショックです」と天野氏は語る。さらに言うなら、「東北の人たちの粘り強さです。地元に工業高校や高専があり、パートタイマーも含めて優秀な人材の確保が可能です。」
また、そんな地元雇用の社員を、臨機応変に行動できる能動的人材に育てるため、社内ではPDCAサイクルの周知と実践のための取り組みも行っている。その甲斐あって、社員による新たなアイディア・取り組みも着実に増えてきている。
 新庄中核工業団地では、団地内での取り組みも盛んだ。団地内企業によって作られた立地協議会では、新たな試み・改善に取り組んでいる。協議会では、団地内に保育所を設置できるかの検討や、立地企業同士による自社プレゼンなど、様々なアイディアが話し合われる。ユニークなものでは、団地内企業間での婚活イベントなども行なっているという。
 これまで、顧客の細かな要望に応え、その高い技術力によって多くの特注品を生み出してきた山形東亜DKK(株)。それを支えるのは社員の新たな力はもちろん、学術研究機関や新庄中核工業団地内の企業など、地域の力がその一端となっているのは間違いない。(2012年9月取材)

(左)プリント基板の作成から。/(右)加工まで対応できる。
(左)プリント基板の作成から。/(右)加工まで対応できる。

▼団地の詳細情報
新庄中核工業団地

 

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