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株式会社ダイユー(新庄中核工業団地)

本物のチームワークで品質を高め、地域からも「求められる存在」に

株式会社ダイユー(以下、(株)ダイユー)は自動車シートの縫製を手掛ける企業。ホンダ、スズキ、三菱、トヨタなどの自動車メーカーと、ドイツの名門シートブランドであるレカロに縫製済みシート地を供給している。「地域に根ざした産業の創出」を目的として1979年に創業。複数の作業場を新庄中核工業団地にて集約し本社工場にした後、順調に業績を伸ばし、現在では子会社2工場を含め国内に5つの工場と3つの事業所、中国にも2法人2工場を持つまでに成長した。しかし製造のベースは本社工場で確立された高い技術とチームワーク。これからも新庄に根を下ろした活動を続けていきたいと考えている。

農村地域の新産業として、雇用創出を目的に創業

多くの電子部品メーカーが立地し、近年は自動車関連産業の集積も進んでいる東北地方。新庄市はその中心にあって、ヒト・モノともに流通の拠点として機能している。東京・名古屋・大阪などの大都市からは離れているが、東北・山形新幹線での優れたアクセスに加え、大都市と比べて安価な地代、労働力となる人々が備えた粘り強い気質、夫婦共稼ぎの世帯が多く女性も働きやすい環境など、この地ならではのメリットは大きい。新庄市は真冬にはしばしば1mを超える豪雪地帯ではあるが、京都出身であり東京で働いていた経験もある(株)ダイユー専務取締役の八鍬 毅氏は、「雪で困ったことは一度もありません。幹線道路も工業団地内も、市が除雪をしっかりやってくれますから。かえって都心のほうが予期せぬ雪には脆弱のように感じます」と語る。
70年代から始まった減反政策によって農家の人々の収入が減少していく中、地域の人たちに職場を提供することを目的に始められたのが現在のシート縫製事業。「農村にとって非常に厳しい状況の中、何とか地域住民が地域で働けるようにと、いろいろな事業を検討しました。その中でたまたまご縁があり、自動車シートの縫製業をスタートしたのです」と創業当時のエピソードを語る八鍬氏。“自立した産業を地域に生み出したい”という願いから始まった企業だけに、地元への熱い想いは社名にも現れている。「『ダイユー(大友)』には『友が集まって大きくなっていきたい』という意味が込められているのです」。

(左)八鍬毅専務取締役。/(右)本社工場の外観。
(左)八鍬毅専務取締役。/(右)本社工場の外観。

高い品質を支える、地域に育まれた「助け合いの精神」

地域の人々への貢献が(株)ダイユーの存在意義になっていると語る八鍬氏。独自の製造工程にも人と人との“助け合いの精神”が不可欠だという。「1ライン3〜5人のチームを組んで作業を進める『一枚流し』という手法を採用しています。機能の違う複数のミシンを逆「の」の字に配置し、裁断を終えた布を、1人がつなぎ、1人がファスナーを縫い付け、1人がまつり……と、1枚の布を横のスタッフに次々と受け渡しながら仕上げていきます。1枚の布を複数のスタッフが縫うので、前工程で発生したミスにすぐに気づき、不良品が量産されることがありません。また、工程ごとに作業が溜まってしまうことがないので仕掛かり在庫を圧縮することができます。完成した個数はチームごとに数字で見えますから、スタッフの士気の低下も防げます。ただし『一枚流し』にはチームワークと助け合いの精神が必要。誰かがミスしたら進んでフォローする、という心を養っていくことが大切なのです」。(株)ダイユーの従業員は7割以上が女性であり、小さい子供を育てながら働いている女性従業員も多いという。一枚一枚手作業で縫い上げる『一枚流し』の手法には良好な人間関係の構築と各人のスキルの蓄積が非常に重要であるだけに、(株)ダイユーにとって長く勤めてもらえることは大きなメリットだ。山形県は共働き世帯が多いことで知られている。「このあたりは3世代、4世代同居の方が多いのです。若い奥さんは働きに出て、その間は小さい子供をおばあちゃんが世話している、という家も多いですよ」と語るのは同社管理課課長の安食二美子氏。やりがいのある仕事に臨む人を、支えてくれる家族や地域。(株)ダイユーの高品質なものづくりには、この地域ならではの“助け合いの精神”も関係しているようだ。

チームで制作する「一枚流し」を採用。
チームで制作する「一枚流し」を採用。

地域の産業の中心地で力を出し合い、地域貢献に注力

自動車シートの縫製業界にはいまだに家内制工業的な製造方法が残っているといわれており、家族だけの小さな工場で大手メーカーの下請けとして縫製を行うようなこともあるという。そのような業界にあって(株)ダイユーは「業務を分散することによる効率と品質の低下を防ぐため、自社工場内での一貫生産体制を確立しました」という希有な存在である。新庄中核工業団地では先の業務拡張までを見越した広めの土地を取得し、方々に散らばっていた作業場を集約、本社もこの地に移転した。「裁断から縫製、検品までの工程を一気通貫できるようになりました。すべてを管理できるので、品質にも責任をもって出荷できます」と八鍬氏。移転にあたっては、不動産取得税の免除や補助金など、県や市からの手厚い優遇・助成も決め手になったそうだ。
新庄中核工業団地では団地協議会を組織し、年3回の清掃などの活動を行っている。また団地内企業の会社紹介等を収録したDVDを制作し、地域の高校などに配布。これは制作過程を通じて企業同士のビジネス上の交流を深めようという試みでもある。団地内の企業が助け合い、力を出し合って、地域の産業を盛り立てようとしているのだ。「この団地に立地することで会社の認知度が上がり、イメージアップにつながったと思います。『新庄中核工業団地』というと、すぐにわかってもらえますから」と語る八鍬氏。「これからも地域の方々といっしょに生活をしていく。それが私ども(株)ダイユーのあるべき姿だと考えています」。立地から約10年が経ち、地域貢献への思いを一層熱くする(株)ダイユー。地元・山形のサッカーチーム、モンテディオ山形のホームスタジアムに選手用ベンチを寄贈する予定もあるという。(2010年7月取材)

(左)裁断は自動で行う。(左)出荷されるシート。
(左)裁断は自動で行う。(左)出荷されるシート。

▼団地の詳細情報
新庄中核工業団地

 

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